講演情報

[I-CPD2-2]18 トリソミーにおける心室中隔欠損症に対する心内修復術

岸 勘太1, 根本 慎太郎2, 蘆田 温子1, 小田中 豊1, 尾崎 智康1, 鈴木 昌代2, 小西 隼人2, 宮田 郁3, 峰 研治4, 内山 敬達5, 芦田 明1 (1.大阪医科薬科大学 小児科, 2.大阪医科薬科大学 心臓血管外科, 3.大阪医科薬科大学 看護部, 4.関西医科大学 小児科, 5.うちやま小児科こどもクリニック)
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キーワード:

18 トリソミー、心内修復術、心室中隔欠損症

【背景】18トリソミー(T18)に対して心臓手術を行うことで予後が改善することが判明し、心内修復術(ICR)を含めた心臓手術を行う施設が増えている。当院では2008年から、T18に対して、児の状態に応じ、ご家族の意向に沿ってICRを行ってきた。【目的】当院で心室中隔欠損症(VSD)に対してICRを行ったT18の臨床経過を明らかにすること。【方法】2008年4月から2024年3月までに当院で心臓手術を行った41例のT18のうちVSDに対してICRを行った35例を対象とし、後方視的に調査した。【結果】35例(VSD:34例、CoA complex:1例)に対してICRを行った。女児:30/35例。31/35例で肺動脈絞扼術(PAB)を先行。65の心外病変を認め(重複あり)、呼吸器疾患が25と最多でICR前に14例に気管切開が施行されていた。食道閉鎖合併:3例でいずれもICR前に根治術を行っていた。極低出生体重児:9例、超低出生体重児:2例。PABを先行した31例中25例で術前に心臓カテーテル検査を行い、平均肺動脈圧: 24+/-7.2mmHg、肺血管抵抗: 3.49+/-1.8WU*m2と肺高血圧を呈する症例を認めた。ICR時月齢:中央値15か月(IQR:10.0~21.5)、ICR時体重:中央値6.0kg(IQR:4.9~6.5)。2例で周術期死亡、原因はARDSと敗血症。術後合併症は、不整脈が18(51.4%)と最多で徐脈性不整脈:9例、うち1例でぺースメーカー植え込み術を施行。頻脈性不整脈:9例。LOSに伴う重度肝障害:11例。術後に気管切開が必要になった症例:4例。肝芽腫を4例に認め、全例に治療を施行。遠隔期死亡:5例、5年生存率:79.5%。【結論】術後合併症が多く、周術期死亡・遠隔期死亡も認めるが、ICRにより長期予後は改善した。T18においても、個々の症例に応じた対応が必要であり、心臓手術を行わない選択も受け入れられるが、治療方針は家族の意思決定に委ねられ、医療提供側の家族への最新かつ正確な情報の提供と丁寧なカウンセリングが必要である。