講演情報
[I-CPD2-4]18トリソミーに対する心臓手術 -心内修復術を開始した施設の経験-
○前田 潤, 大木 寛生, 永峯 宏樹, 小山 裕太郎, 山田 浩之, 妹尾 祥平, 吉田 真由子, 山口 修平, 伊澤 美貴, 三浦 大, 山岸 敬幸 (東京都立小児総合医療センター循環器科)
キーワード:
18トリソミー、心臓手術、心内修復術
【背景】18トリソミー(T18)は約80%以上に先天性心疾患(CHD)を合併し、1歳までに約90%が死亡する予後不良な染色体異常であるが、近年心臓手術を含めた集学的治療が行われるようになり、長期生存する症例も増加している。また、心内修復手術(ICR)が姑息手術より予後良好であることも報告されている。当院では、当初心臓手術を他院に依頼していたが、2015年から肺動脈絞扼術(PAB)や、修正BTシャント術(MBTS)などの姑息手術を、2024年から心内修復術(ICR)を開始した。【目的】心臓手術を行ったT18症例について臨床像を後方視的に検討する。【対象と方法】2010年~2024年の間に当院で経過観察が行われたT18 79症例のうち、心臓手術を行った12名(男2名、女10名)。手術を行わなかった67名(C群)。【結果】心疾患の内訳は心室中隔欠損(VSD)4名、VSD・動脈管開存( PDA )4名、VSD・PDA ・心房中隔欠損(ASD) 1名、VSD・PDA・大動脈縮窄(CoA )1名、Fallot四徴(TOF)2名。手術の内訳は、肺動脈絞扼術(PAB )4名、PAB後ICR 6名(当院1名、他院5名)、ICR 1名、体肺シャント手術(APS) 1名。12名中8名(67%)が生存し、年齢は3か月~17歳、全例女で、ICR 6名、PAB 2名(1名はICR待機中)あった。5名が気管切開、4名が胃瘻造設を要していた。8例中4例(ICR 3例、PAB 1例)は、気道感染、胃瘻や胃管からの注入不良で、毎月1-2回の入院を要していた。手術後に死亡した4例は、PAB 2名、PAB後ICR 1名、APS 1名、死亡時年齢は各々1歳1か月と4歳、10か月、3歳で、手術から8か月~1年経過していた。死亡原因は1名が肺出血、その他3名は気道感染であった。【考察】既報と同様にT18に対する心臓手術、特にICRは生命予後を改善させる可能性があるが、心疾患術後も医療的ケア、頻回の入院治療を要することが多いことが示唆された。訪問診療、看護を含めた地域の医療サポート体制が不可欠であると考えられた。