講演情報
[I-CPD3-1]小児科病棟における生体モニターアラーム対応 ~理想と現実の狭間で~
○赤星 祥伍1, 森川 和彦1, 幡谷 浩史2 (1.東京都立小児総合医療センター 臨床試験科, 2.東京都立小児総合医療センター 総合診療科)
キーワード:
生体モニター、アラーム疲労、医療安全
生体モニターのアラームに本来期待される機能は、即時対応すべき患者状態(急変等)を報知する事であろうが、実際にはアラームの多くが対応不要なものである。過剰なアラームは医療者の感受性を低下させ、重大な事態の見逃しを招き得る。この現象はalarm fatigueと呼ばれ、患者層・看護体制による差はあれど、世界中で問題視されてきた。小児一般病棟では体動や啼泣によりアラームが増えるため、対応が必要なアラームは1%前後に過ぎないとの報告がある。
これまでに研究されてきたアラーム対策は、電極の交換、モニタリングの早期中止、アラーム閾値の調整や二次通知の導入などを含む。いずれも短期的には有効な対策が示されてきたが、長期的な効果についてのエビデンスは乏しい。また、アラーム削減のための機械学習を用いた研究も多く行われ、主に「患者の状態を誤って報知するアラーム」の削減が目的とされてきた。しかし、実際は「バイタルサインの逸脱等を正しく報知するが即時対応を要さないアラーム」が大半であり、それらを削減するために医工連携による研究開発が必要と考えられる。
当院では小児一般病棟で2015年から2019年にかけて2回のアラーム削減対策を実施し、アラーム頻度を約40%削減した。しかしその後はアラーム頻度が再び上昇傾向となり、2024年には2015年を超える水準となった。アラームは平均して1病棟1分あたり2~3回鳴っていたことから、「全てのアラームに反応する」ことは現実的に不可能であることが示唆された。院内調査でも理想と現実の乖離が示されたため、私達は以下の2点を推し進めてきた。まず、心停止や致死的不整脈などを報知する「危機的(Crisis/Red)アラーム」を無視しないという、現実的目標の提言である。次に、対応が必要なアラームを残しつつ総アラーム数を抜本的に削減する新たなシステムの開発であり、産学連携し共同研究を進めている。
これまでに研究されてきたアラーム対策は、電極の交換、モニタリングの早期中止、アラーム閾値の調整や二次通知の導入などを含む。いずれも短期的には有効な対策が示されてきたが、長期的な効果についてのエビデンスは乏しい。また、アラーム削減のための機械学習を用いた研究も多く行われ、主に「患者の状態を誤って報知するアラーム」の削減が目的とされてきた。しかし、実際は「バイタルサインの逸脱等を正しく報知するが即時対応を要さないアラーム」が大半であり、それらを削減するために医工連携による研究開発が必要と考えられる。
当院では小児一般病棟で2015年から2019年にかけて2回のアラーム削減対策を実施し、アラーム頻度を約40%削減した。しかしその後はアラーム頻度が再び上昇傾向となり、2024年には2015年を超える水準となった。アラームは平均して1病棟1分あたり2~3回鳴っていたことから、「全てのアラームに反応する」ことは現実的に不可能であることが示唆された。院内調査でも理想と現実の乖離が示されたため、私達は以下の2点を推し進めてきた。まず、心停止や致死的不整脈などを報知する「危機的(Crisis/Red)アラーム」を無視しないという、現実的目標の提言である。次に、対応が必要なアラームを残しつつ総アラーム数を抜本的に削減する新たなシステムの開発であり、産学連携し共同研究を進めている。