講演情報
[I-HRS-3]横浜市方式学校心臓検診の精度管理
○岩本 眞理1, 鉾碕 竜範2, 西澤 崇3 (1.まりこどもクリニック港南台, 2.国立病院機構 横浜医療センター, 3.横浜共済病院)
キーワード:
精度管理、緊急心電図、再判読委員会
【緒言】心臓検診の方法は各自治体に委ねられるが、横浜市方式を紹介する。【方法】1973年に学校保健法により学校心臓検診が義務づけられた。横浜市は1962年に学校心臓検診を聴診とレントゲン写真でスタートした。1995年学校保健法改正で心電図検査が義務化され、横浜市は1992年に12誘導心電図を導入、1994年管理委員会・再判読委員会を設置した。1次検診での心電図記録時に緊急対応を要する所見(QT延長・心室頻拍・完全房室ブロック・極端な徐脈・高度右室負荷・検査技師や区判定医が緊急と判断した例)は「緊急心電図」としてホットラインで小児循環器専門医が直ちに判読し医療機関に直接紹介する. その他の心電図は各区で小児科・循環器内科医による判定後、小児循環器専門医3名により再判読を行う。精密検査を行う医療施設の振り分け(緊急、重症度による区分)を行い、要精検例は市内20医療機関を受診し、診断と学校生活管理指導を受ける。なお学校心臓検診は横浜市教育委員会より横浜市医師会への委託事業である。【結果】横浜市の公立小・中・高1の児童生徒数は2023年度55,622名、一次検診の再判読率は3.0%、再判読後要精検率は1.5%となった。二次検診受診者754名のうち4名がE禁以上の運動制限の指導を受け、内容は心室頻拍・肥大型心筋症・QT延長症候群であった。その他心房中隔欠損9、QT延長16、WPW症候群49であった。260名は運動制限なしの経過観察、492名は管理不要となった。過去5年間では他に高度房室ブロック・心房細動・狭心症疑い・多発PVC・肺高血圧症・心房頻拍等が運動制限、心房中隔欠損症は16名が治療を受けた。【結語】横浜方式学校心臓検診の1.5%の精検率は適正な数値を保っているが、早期発見・突然死予測等の検証を含め、継続的な精度管理が求められる。