講演情報
[I-HRS-4]学校心臓検診のデジタル化の取り組み:2025年 Update
○三谷 義英1,2 (1.三重大学医学部附属病院周産母子センター, 2.小児循環器医療DXワーキング)
キーワード:
学校心臓検診、心電図、デジタル化
学校心臓検診の対象疾患の早期診断における学校心臓検診の有用性が報告された。しかし、全国調査(学校保健会)によれば、県別要精検率、要管理率は、地域により6-7倍の差があり、学校心臓検診の判読の精度の地域差が示された。また、過半数の自治体で心臓検診判定委員会の有無、検診の未受信者の把握、総括的な報告など不明とされ、心電図の判読、精度管理の全国的な標準化、近てん化が課題とされた。2021年の文部科学省の調査で、検診結果は、約90%は保護者に紙で返却されていた。本学会の実態調査2024では、学校心臓検診の心電図判読、問診票のデジタル化されている地域は少なく、さらに現在の学校心臓検診に関わる個人情報保護、関係者の働き方改革上の課題から、事業継続性が課題として挙げられた。現在、政府の進める医療DXの取り組みの中で、Public Medical Hub(PMH)の取り組みが注目される。PMHは、医療・保健分野の行政手続や情報連携のデジタル化によって、住民・自治体・医療機関の業務負担を軽減し、サービス向上を図る事業で、これまで医療費助成や予防接種、母子保健、介護保険で開始され、自治体検診、学校健診への進展が期待されています。以上の認識に基づいて、関連6学会から学校心臓検診のデジタル化の提言が発表された。検診の問診収集・判読実務のデジタル化が最初の第一段階と考えられ、既に実務段階であり、部分的には県、市レベルで採用されている。スマートフォンを用いた問診のデジタル登録、問診・心電図保存・心電図判読と総合判断のクラウド活用、広域のデータ解析、個人のPHR管理は、これからの課題であり、2025年度において、PMHの観点からも議論される。