講演情報

[I-HRS-7]富山県下に於ける学校心臓検診デジタル化の現状

藤田 修平1,3, 竹田 義克1, 臼田 和生2, 畑崎 喜芳3, 三川 正人3, 廣野 恵一3, 津幡 眞一3, 橋本 郁夫3, 辻 春江3, 宮崎 あゆみ4, 上勢 敬一郎4 (1.富山県立中央病院 小児科, 2.富山市医師会 心臓検診特別委員会, 3.富山市医師会 心臓検診特別委員会, 4.高岡市医師会)
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キーワード:

学校心臓検診、デジタル化、心電図判読

富山県の学校心臓検診デジタル化富山県は15市町村、人口約100万人で医療体制は4医療圏、11医師会から構成される。当初、心電図等の記録は紙媒体で保存して専門医師による判読が行われてきたが、学校管理下での事故が発生した場合には迅速なデータの再確認が困難であった。そこで富山市医師会では2002年より組織の一元化と生涯継続管理を目的に心電図・心音図のデジタル収録を開始し、翌年から1次判読(オーバーリード)で利用する事とした。また、個人調査票をサーバに保存した。2008年からは個人調査票が県内で統一された事を機に、USBによる総合判定(個人調査票・心電図・心音図)を行う事で迅速かつ正確な判定と検索が可能となった。富山県では医師会主導によるオンプレミス型デジタル運用を行っている。現在、富山市医師会が管理、把握している6市2町1村ではデジタル化が進んでいる(全県小学校の85.6%、中学校の84.5%がデジタル化)が、残りの4市2町は未だに紙媒体での運用がなされており状況把握が不十分である。一方、富山県医師会主導による高等学校・支援学校は県内全てデジタル化されている。効率、効果 デジタル化の結果、学校心臓検診の個人調査票、心電図判読は格段に能率的となり過去のデータとの比較も容易となった。特にQT延長症例のデジタルデータ、コンピューターソフトを用いた接線法での判読、精査症例の抽出法は画期的であり効率と正確性が飛躍的に向上した。また年度末の委員会では当該年度症例の検討を過去データと比較検討して精度の向上に努めている。反面データを正確かつ安全に保存するためには多大な労力と経費を必要とするのが実情である。今後の学校心臓検診に関して 今後、学校心臓検診のデジタル化は必須であるが、その方法は各自治体及び医師会の状況を勘案しつつ国が進める医療DX政策のなかで費用対効果を考えていく必要がある。