講演情報
[I-HRS-8]仙台市・宮城県の学校心電図検診デジタル運用の取り組みと課題
○木村 正人1,2, 河村 司1,3 (1.仙台市児童生徒心臓病精密検査専門委員会, 2.国立病院機構 仙台医療センター 小児科, 3.宮城県成人病予防協会)
キーワード:
学校心電図検診、デジタル化、医療DX
仙台市の学校心電図検診は、宮城県が昭和52年に日本学校保健会の検診モデル県に指定を受けた際に、医師会が開催する心電図判定会(仙台市児童生徒心臓病精密検査専門委員会)において要精査心電図を抽出する現在のスタイルが確立され、1枚の心電図判定に複数の判定医が関わることで心電図検診の精度管理を行ってきた。我々は、近年の医療DX推進の動きを背景に、コロナ禍における判定会開催を経験したことで心電図検診のデジタル運用の必要性を強く認識した。2022年4月に医師会担当理事を中心に心電図判定委員だけでなく、各健診機関の検診担当者や仙台市教育委員会などもメンバーとした仙台市学校心電図検診デジタル化WGを立ち上げ、学校心電図検診のデジタル運用を目的に協議を重ねてきた。その結果、さまざまな議論を経て2025年度から仙台市における学校心電図検診のデジタル運用を開始することが決定した。さらに、当初は想定していなかったが、心電図記録を委託している健診機関が重複しており、県内のほとんどの市町村でデジタル化が進むことになった。学校心電図検診をデジタル運用することでコスト面での改善だけでなく「経年的心電図変化の観察」や「心電図の後方視的検討」などが容易になることが期待され、学校心電図検診のレベルアップに寄与するものと考えられる。また、宮城県の学校心電図検診は、仙台市のように集団判定会で有所見者を抽出しているのはごく一部の市町村のみであり、小児循環器専門医が判定会に主体的に関わっているのは仙台市のみであるのが現状である。県内の学校心電図検診のデジタル化は県内における学校心電図検診の均てん化のきっかけになることも期待されている。仙台市学校心電図検診の取り組みを紹介するとともに宮城県の学校心電図検診デジタル化の現状について紹介する。