講演情報

[I-HRS-9]石川県予防医学協会のクラウド型学校心臓検診

岩田 みどり1, 田畑 正司2, 伊藤 真一1, 島田 英司1, 中山 美樹1, 中山 美咲1, 幅岸 稚奈1, 狭間 裕子1, 太田 邦雄3 (1.一般財団法人 石川県予防医学協会 健康増進部, 2.一般財団法人 石川県予防医学協会, 3.金沢大学医薬保健研究域 医学教育学)
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キーワード:

学校心臓検診、心電図検査デジタル化、クラウド

当施設では年間約11,000件の学校心臓検診を実施している。これまで心電図検査は記録紙で実施し、判定の大部分を外部医療機関に委託していたため、様々な問題を抱えていた。これらの問題を改善すべく心電図検査のデジタル化を導入し、システムの構築、心電計の更新、記録および判定方法の変更など運用面での検討を行った。システムの構築はすでにレントゲン検査等で使用していたクラウド型PACSを活用し、画像(心電図波形)と健診基幹システムからの個人属性を結びつけ学校心臓検診判定用レポートを新たに作成した。併せて判定方法を変更し、問診と心電図を別々に判定し総合判定とすることとした。その理由は、判定用レポートに問診結果を反映するには日数を要し、既存のシステムでは画面の設計上、問診結果の確認に時間を要することなどであった。判定環境を施設内と同等に提供するため、外部医療機関内に判定端末を設置し、施設内の専用機器と接続した。判定医はレポートから画像を呼び出し判定し、その結果は健診基幹システムと連携し、結果作成まで可能とした。クラウド型PACSの利用は、施設内に大型のサーバーの設置および定期的な更新が不要なこと、データは多重管理され暗号化秘密分散方式により安全性を担保していること、災害等により施設が倒壊した場合でもデータは施設内にないため復旧が容易なことなどのメリットがある。併せて、心電図検査のデジタル化により作業の効率化、リスクの軽減、資材費の削減など一定の効果が得られた。一方、当施設では各自治体からの委託により検診を実施しているが、判定委員会の設置はなく、独自で学校から学校生活管理指導票をフィードバックしてもらい精度管理を行っているため、判定や事後指導など精度管理が不十分で地域差があると感じている。本シンポジウムでは当施設の学校心臓検診デジタル化に向けての取り組みおよび効果、現状の課題について報告する。