講演情報
[I-OR01-02]若年で肺動脈弁置換術を要するファロー四徴症術後患者における治療選択の現状と今後
○佐藤 純1, 松本 一希1, 朱 逸清1, 小山 智史1, 吉井 公浩1, 大島 康徳1, 吉田 修一朗1, 西川 浩1, 櫻井 寛久2, 野中 利通2 (1.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科)
キーワード:
PVR、TPVI、TOF
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後患者に対して近年経皮的肺動脈弁置換術(TPVI)が可能となり、生涯の開胸回数を減らすことが重要視されてきた一方、心内修復術(ICR)は低年齢化している。【目的】当院におけるTOF術後患者の中期予後を振り返り、術式の傾向と再介入タイミングを把握する事。【方法】当院受診歴のある患者で1995年1月-2025年1月に弁輪温存(VS)、1弁付きパッチ(TAP)でICRを施行したTOF or DORV/PS症例を後方視的に検討。【結果】全278例中、TOF 249例、DORV/PS 29例。ICR時年齢、体重、VS修復例(%)は1995-2004年 2.6±0.9歳(平均値±標準偏差、以下略)、11.2±2.1kg、48例(28.4%)、2005-2014年1.4±0.6歳、8.9±1.6kg、29例(29.0%)、2015年-2025年0.75±0.5歳、8.0±5.5kg、72例(42.6%)(すべてp<0.001)であった。期間内遠隔期再手術例はPSが主因6例(2%)ですべてVS例(5例が2015年以降)。PRが主因での肺動脈弁置換術(PVR)23例(8%)(TPVIを含む)で21例がTAP、2例がVS。この23例について検討。PVR時年齢17(14.5-24)歳(中央値(四分位数)、以下略)、体重46.3(26.1-57.9)kg、ICR-PVRまでの期間15.4(12.7-21.9)年。挿入弁種類はePTFE3弁付き導管12例(すべて18歳以下)、Epic4例、Inspiris5例、Mosaic1例、Harmony1例で、valve sizeは24(22-25)mmであった。PVR同時手術は肺動脈形成術7例、三尖弁形成術 4例、isthmus block 4例。弁挿入後観察期間は4(2-6)年で、期間中弁不全による再介入は1歳時にPVRを要した1例のみであった。【考察】VS増加に伴い、PSでの再介入症例も一定数認めた。PR症例において成人体格でも10代後半ではdurabilityを意識してePTFE弁が多く用いられていたが、現状国内ではこれらに対するTPVIは不可能である。【結語】若年PVRの治療方針について、各弁のdurabilityを追跡しつつ弁劣化時の再介入方法まで考慮のうえ、症例ごとのdiscussion、患者への情報提供が今まで以上に必要と考えられた。