講演情報
[I-OR01-04]当院におけるTPVI Harmony 10例の経験と現状
○小柳 喬幸, 福山 隆博, 丸山 篤志, 住友 直文 (慶應義塾大学 医学部 小児科学教室)
キーワード:
Harmony、ファロー四徴症、Fit analysis
【緒言】2023年3月2日に本邦2例目となるHarmony TPVIを行って以来, これまでに当院では10例を実施し全例成功した. Fit analysisで適合判断が悩ましかった症例の一部は, 国内の技術担当者や, 自身の米国留学先のHarmony実施施設で協議し適合とした. 【対象】 2023-2025年に当院でHarmony TPVIを行った10例. 平均41.7歳(18-57歳), 平均術後入院日数は 4.3日(2-6日). 診断は全例ファロー四徴症術後の肺動脈弁逆流症だった. ICD心内リード1例, ダウン症候群1例, ペースメーカー1例, 心臓MRI非実施2例. 【結果】全例にFV approachでTPV 25を supra annular positionで留置した. TPV 22の使用は0例. Fit analysisのLanding zone<5mmが1例, 判定困難症例2例 (short PA 1例, outflow側のアンカリングが取れない症例1例)を認めた. いびつな肺動脈形態で狭窄があり, 手技時にバルーンカテーテルによる肺動脈形成術を行った症例2例. 肺動脈長が49mmとデバイス長よりも短かった症例では, Fit analysis参考画像よりも高い位置に展開することで, 留置可能だった. 合併症は, TPV留置前より生じた心房頻拍の発症1例と, 穿刺部の仮性動脈瘤形成を生じた1例だった. 管理面では, 小児科入院3例, 循環器内科入院7例で, 初期4例はECMOスタンバイ及びICU帰室としていたが, 術後経過の安定性が得られたため現在は一般床帰室に変更した.【考察】Fit analysisで適合判定が出なかった症例に関しても, 解析結果画像や3DCT画像を吟味して, より高位への留置や, RVOT patch膨大部とRVとのギャップなどを利用したアンカリングを模索することで, 留置することができた. 個々の症例において留置後形態をイメージしながら戦略を練ることが肝要だった. 在院日数は最短で4日間で, 患者にとってメリットの大きい治療であると改めて感じた. 【結論】留置困難形態と思われた症例も, 工夫によって留置が可能な症例があった.