講演情報

[I-OR01-05]Harmony TPVI留置時の冠動脈圧迫の経験と今後の回避策の検討

馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 福嶋 遥佑1, 重光 祐輔1, 川本 祐也1, 原 真佑子1, 杜 徳尚2, 岩崎 達雄3, 金澤 伴幸3, 小谷 恭弘4, 笠原 真悟4 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 循環器内科, 3.岡山大学病院 小児麻酔科, 4.岡山大学病院 心臓血管外科)
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キーワード:

TPVI、Harmony、coronary artery compression

(はじめに)Harmony valveは自己拡張型のデバイスであり、バルーン拡張型と比較して冠動脈圧迫の可能性は低いが、Harmony valve留置後に冠動脈圧迫を認めたという報告が散見されている。我々は2025年2月に国内初(世界で4例目,急性期で2例目)のHarmony留置後の冠動脈圧迫例を経験し、報告とともに、今後の回避策も検討した。(症例)38歳。ToF術後、重症肺動脈弁逆流(逆流率58%)。冠動脈走行異常なし。(経過)TPV25留置前後に左肺動脈狭窄に対してバルーン拡張術施行、TPV25留置後lunderquist wire抜去直後にST変化に気づき。選択的冠動脈造影にて左冠動脈主幹部の圧迫を認めた。lunderquist wire再挿入にてST変化は改善し、wireによりTPV25に前上方の力が加わり圧迫が軽度になったと考えられた。lunderquist wire挿入のまま手術室に搬入、緊急手術(TPV25摘出+PVR(Epic25))施行し、術後7日目に退院。(反省点)術前CTのみで留置前後での冠動脈造影は未施行であった。(形態的特徴)主肺動脈はhorizontal であり、右室流出路から主肺動脈の前面に石灰化があり、後方にTPVのradial forceが加わりやすい形態であった。(回避策検討)CTでも冠動脈と肺動脈は近接している例は多く、CTのみの評価では十分な予測は難しい。balloon interrogationを施行した例もあるが、38mmのlarge sizing balloon を用いても径は不十分である。選択的冠動脈造影は開口部を押し広げて圧迫が不明瞭になる可能性があること、また留置時に従来よりpigtailを挿入していたことより、現時点の冠動脈圧迫回避策として、留置後に移動の可能性はあるが、近接する冠動脈が起始する冠尖(多くは左冠尖)にpigtailを入れ、Row2-3を開いた後とdetach前にpigtailでの造影が簡便で有効と考えている。