講演情報

[I-OR02-03]当院におけるHarmony TPVI後の不整脈に対するソタロールの有効性と安全性に関する検討

渡邊 康大, 北野 正尚, 長元 幸太郎, 吉野 佳佑, 西岡 真樹子, 島袋 篤哉 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科)
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キーワード:

Harmony TPVI、術後不整脈、ソタロール

【背景】Harmony TPVI後の重要な合併症として心室性不整脈(VA)がある。PVCからSVTまで幅広いVAが報告されていて、特にVTは生命の危機に進展する可能性がある。しかし術後のVAに関する治療法は確立されていない。当院では術後のVAに対して、3群抗不整脈薬であるソタロールを使用している。その有効性と安全性に関して後方視的に検討した。【方法】2023年-2025年の間に当院でHarmony TPVIを施行した21症例(年齢 13-65歳(中央値24),体重 30.8-77.7kg (中央値 58.2),女性9例)において、術後に発生したVAの頻度と詳細、ソタロール導入後の転帰(症状、12誘導心電図でのVA、心拍数、QT時間の変化)、frameとVAとの関係に関して検討した。【結果】術後、簡易心電図モニターでPVC・NSVTなどのVAが16例(76.2%)に認められた。VA起源としては、12誘導心電図で7例(43.8%)はRVOTと判明できたが、9例(56.2%)は検知できず不明である。NSVT 8例や動悸を伴うPVC 1例の計9例(42.8%)にソタロールを導入した (40mg/day (1例), 80mg/day (7例), 160mg/day (1例))。全例で入院中にVA、身体症状の改善を認め、退院している。9例の退院後の転帰については、術後1か月の心拍数の中央値は68/min(47-100)、QTc(B)は457msec(373-565)でソタロールによる重大な合併症なく経過している。術後6か月までフォローできた症例は6例:1例は心拍数 39/minと著明な徐脈を認めたため、内服を中止し、タンボコールへ変更した。2例は術後3か月、別の2例は術後6か月、残りの1例は術後1年迄に症状が改善し、内服を終了した。21例全例でframeの一部が肺動脈弁下にかかっていた。frameがRVOTにかかっていてもVAが発症しない症例もある。【結論】Harmony TPVI後時間経過でVAは減少してゆく。症例数は少ないが、Harmony TPVI後のVAに対してソタロールは有効であり、徐脈やLQTに注意して使用すれば安全と思われる。