講演情報

[I-OR02-04]TPVIにおけるHypoattenuated Leaflet Thickening: 弁機能温存のための至適抗血栓療法

赤澤 祐介1,5, 檜垣 高史1,2,3,5, 柏木 孝介3, 宮田 豊寿3, 前澤 身江子3, 千阪 俊行3, 太田 雅明3, 打田 俊司4,5, 山口 修1,5 (1.愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座, 2.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座, 3.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座, 4.愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科学講座, 5.愛媛大学医学部附属病院 移行期・成人先天性心疾患センター)
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キーワード:

TPVI、Hypoattenuated leaflet thickening、抗血栓療法

【背景】経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI) においてhypoattenuated leaflet thickening (HALT) およびreduced leaflet motion (RELM) は弁のdurabilityへの影響が示唆されており, 抗血小板療法 (APT) に比して抗凝固療法 (OAC) でHALT/RELM抑制効果が報告されている. しかし, 経カテーテル的肺動脈留置術 (TPVI) 後のHALT/RELMに関する臨床的特徴や至適抗血栓療法については不明である.【目的】TPVI後のHALT/RELMの臨床的特徴や抗血栓療法との関係について評価すること.【方法】2023年3月から2024年12月までに, 当院にてHarmony TPVによるTPVIを受けた16症例を対象とした. 心臓CTを用いてTPVI後のHALT/RELMを評価し, 心エコーで弁機能を評価した. HALTは, CT長軸像で半月状のleafletの肥厚が視認されたものを定義した. HALTが観察された場合, RELMの重症度をnormal leaflet motion (N), partially restricted (P), immobile (I)として評価した.【結果】TPVI患者16例中15例(93.8%)がTPVI後早期(1週間-1ヶ月)に心臓CTを受けた (年齢中央値45歳, TOF 13例, VSD/PA 2例). 7例(46.7%)にHALT (N 2例, P 3例, I 2例) を認めたが, いずれも弁機能の悪化は認めなかった. HALTを認めた症例で弁の最小面積 (MTA) が小さい傾向にあり (p=0.07), APT群に比してOAC群でHALTが抑制される傾向にあった (No HALT: 40% vs 80%). フォローアップの心臓CTは9例 (6ヶ月時: 3例, 6および12ヶ月時: 6例) に施行された. OAC群 (3例) 全例で一貫してHALTは認めなかったがAPT群 (6例) の5例にHALTが残存した. 2例にHALTの進行 (2 leafletにimmobile) があり, 弁機能悪化 (mean PG > 20 mmHg) を認めた. 1例は全症例中最小のMTA 161 mm2であった. DOAC追加により2症例とも改善を得た.【考察・結論】TPVIにおいてMTAおよび抗血栓療法の選択がHALT/RELMの発生因子である可能性が示唆された. 臨床的意義については更なる検討が必要である.