講演情報
[I-OR06-01]フォンタン術後の肺血流分布と肺動静脈瘻の検討
○渕上 泰1, 岩田 祐輔1, 中村 真1, 小倉 健1, 桑原 直樹2, 山本 哲也2, 寺澤 厚志2, 田中 秀門2, 桑原 尚志2 (1.岐阜県総合医療センター 小児心臓外科, 2.岐阜県総合医療センター 小児循環器科)
キーワード:
Total cavopulmonary connection、Pulmonary arteriovenous malformation、contrast echocardiography
【背景】当院ではTCPC後の全例に肺血流シンチ(RI)施行し、IVC血流が不均衡症例は術後の酸素化が良好でも中期遠隔期で酸素化の悪化傾向があることを報告してきた。今回、肺血流バランスと左右肺動脈(LPA, RPA)におけるコントラストエコー(CE)を検討した。【対象・方法】2003年3月~2018年8月にTCPC施行し、術後2回以上心臓カテーテル検査(RHC)を施行した(初回は術後中央値12.1カ月、遠隔期は術後10.5年)のTCPC症例50例を対象(IVC欠損/fenestrated TCPC /人工血管閉塞/データ欠損症例を除外)とした。RI(術後1.5カ月)は下肢からの左右肺血流の割合をそれぞれ測定unilateral RI(URI, range 0.00~1.00, 左右計1.00)とした。RHCでのRPA, LPA(計100肺)のCE (0~3+)を評価。【結果】初回RHCは13例(26%)の19肺でCE陽性(RPAのみ4例, LPAのみ3例, 両側6例)認めた。遠隔期RHCでは11例(22%)の11肺がCE陽性(RPAのみ7例, LPAのみ4例)であった。遠隔期にCE陽性の11肺と陰性の89肺を比較すると、術後URIは0.32 (0.03-0.77) vs 0.54 (0.10-0.97)(p=0.013)であり、遠隔期CE陽性肺が有意に低かった。遠隔期にCEが1段階以上改善した肺は12例の計18カ所の肺であり、URI 0.54 (0.10-0.90)であった。遠隔期にCEが1段階以上悪化した肺は9例9カ所であり、遠隔期にCE悪化した9カ所とCE陰性または改善した91カ所を比較するとURIは0.28 (0.03-0.48) vs 0.54 (0.10-0.97)(p=0.00052)と悪化した肺が有意に低かった。【考察】TCPC術後遠隔期にはIVC血流が少ない側の肺のCEが悪化する例が散見された。このような症例はCE陰性や改善例と比較しURIは有意に低かったが、明確なcutoff値には他因子の検討も必要と考えられた。