講演情報

[I-OR06-02]右室流出路再建における自作ePTFE3弁付き導管の中長期成績

若見 達人, 森 おと姫, 井上 瑛介, 下地 章夫, 福永 直人, 田村 暢成 (兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

右室流出路再建、3弁付き導管、ePTFE導管

右室流出路再建における導管選択はいまだ議論の余地がある。当院ではePTFE導管にePTFE弁尖を縫合し3弁付き導管として使用しており、その中長期成績を報告する。2004年11月から2024年12月までにePTFE3弁付き導管を用いて右室流出路再建を行った症例を対象に後方視的に検討した。42例の患者に対し62回の導管植え込みを行った。手術時平均年齢は9.1±8.6歳(1か月~38.9歳)、平均体重は23.9±15.9kg。基礎疾患は肺動脈閉鎖が18例、大動脈弁狭窄または閉鎖不全症が9例、総動脈管症8例、両大血管右室起始4例、完全大血管転位2例、修正大血管転位1例。術式は 初回右室流出路再建18例、再右室流出路再建35例、RossまたはRoss-Konno手術9例であった。導管サイズは中央値19mm(10~24mm)であった。周術期死亡は4例あり、死因は内3例が導管関連でない心不全、1例が肺炎による敗血症であった。平均追跡期間は5.4±3.9(0.1~17.5)年であり、遠隔期死亡は1例(敗血症)認められた。導管内圧較差は退院時平均16.2±10.2mmHg、3年で34.5±20.2mmHg、5年で43.2±25.9mmHgであった。観察期間内にmoderateの弁逆流を来した症例は3例でありsevere症例は認めなかった。導管再手術は17例に計22回行われ、再手術適応は導管狭窄(成長に伴うもの含む)が13例、導管狭窄兼弁逆流が1例、感染性心内膜炎が1例、非導管関連によるものが7例であった。導管再手術回避率は5年で90.7%、7年で83.8%であった。当院で行ったePTFE3弁付き導管の成績は満足いくものであり、右室流出路再建法の有用な選択肢と考えられた。