講演情報

[I-OR08-02]右心系先天性心疾患術後遠隔期における心房頻脈性不整脈と心房機能の関係~MRIによるストレイン解析~

寺師 英子, 長友 雄作, 松岡 良平, 小林 優, 平田 悠一郎, 山村 健一郎, 大賀 正一 (九州大学病院 小児科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

心房性不整脈、心房ストレイン、成人先天性心疾患

【背景】左房ストレインが後天性心疾患において不整脈リスクの指標として有用であることが示されている。成人先天性心疾患(ACHD)の長期合併症である心房頻脈性不整脈(ATA)の予測にMRIによる心房ストレインが有用であるかを検討する。【方法】2015年1月~2023年12月の8年間に当院ACHD外来を受診した、二心室修復術後20年以上の右心系CHDで心臓MRIを施行した患者を対象とした。ATA(持続性心房細動Paf、心房粗動AFL、心房頻拍AT)を発症した群をATA群、それ以外をnonATA群とし、洞調律下のMRIで左右心房のReservoir strain(Rs)、Conduit strain(Cs)、Booster strain(Bs)、および各々のStrain rate(Rsr、 Csr、 Bsr)を計測し、2群間で比較した。【結果】対象は75例(TOF53例、PA/VSD10例、DORV/PS5例、criticalPS3例、PA-IVS3例、Ebstein1例)で修復術時年齢中央値は3.5歳、術後年数は34年であった。ATA群は16例(21%)(Paf2例、AFL7例、AT7例)でnonATA群と比較して手術時年齢が高く、BNPが高く、中等度以上のTRの割合が高かった。左房に関してはRs、Rc、Rb、およびRsr、Csr、 BsrはATAとの関連はなかった。体表面積あたりの左房面積の最大値と最小値はどちらもATA群で大きかった。右房に関してはRs (13.9% vs 19.9%, p=0.01)、Rsr (1.6 vs 2.5, p<0.01)、Bs (5.9% vs 10.6%, p<0.01)がATA群で有意に低下していた。体表面積あたりの右房面積の最大値と最小値はATA群で大きく、その変化率は低下していた。【考察】心形態異常のない、心房細動のリスク因子として左房ストレインが有用であることが示されているが、今回の検討では右心系CHD術後遠隔期のATAに関して左房機能は影響していなかった。一方で右房機能(Rs、Rb)はATA群で有意に低下していた。【結論】心臓MRIを用いた右房ストレインは右心系CHDの遠隔期ATA発症と関連している可能性がある。