講演情報

[I-OR08-03]当院における多脾症候群の臨床像

大島 康徳1, 松本 一希1, 朱 逸清1, 佐藤 純1, 吉井 公浩1, 小山 智史1, 吉田 修一郎1, 西川 浩1, 櫻井 寛久2 (1.JCHO 中京病院中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.JCHO 中京病院中京こどもハートセンター 心臓血管外科)
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キーワード:

多脾症候群、合併症、胆道閉鎖

【緒言】多脾症行群は心疾患のため小児循環器医が管理の主体となるが、多臓器疾患の合併により管理に苦慮する。【目的・方法】当院における多脾症候群の心疾患、心外合併症などの臨床像を後方視的に調査し、注意すべき合併疾患とその時期を検討した。2006年1月から2025年12月までの20年間に当院診療歴のある患者を対象とし、病名検索により抽出した。下大静脈欠損などの所見を複数満たすものが多脾症候群と診断された。【結果】全40例、男18例、女22例。年齢は0歳から61歳、中央値14歳。3例で死亡が確認され、小児期死亡例は1例で胆道閉鎖症のため重度の術後脳出血を起こした。21例が単心室形態、19例が二心室形態であった。単心室形態は房室中隔欠損症and/or両大血管右室起始症+左室低形成(+単心房)が15例71%と多く、二心室形態は房室中隔欠損症(+単心房)が9例47%と多かった。ペースメーカ移植術が8例20%で施行され、胎児徐脈/胎児水腫傾向が1例12.5%、術後徐脈もしくは房室ブロックが7例87.5%だった。多脾が確認されたのは27例96%、下大静脈欠損33例83%、両側上大静脈16例48%、水平管14例51%、両側左気管支形態27例96%だった。先天性胆道閉鎖症4例で葛西手術が施行され、うち1例はその後肝移植を受けた。また1例は門脈欠損のため肝移植を受けた。門脈体循環シャントを6例で認めたが、新生児マススクリーニングで高ガラクトース血症を指摘されたのは肝移植を受けた門脈欠損の1例のみだった。残りは心カテでの肺動静脈瘻から疑われ診断されたが、診断時の年齢は1歳7カ月から37歳、中央値3歳と高年齢でいずれも単心室症例であった。十二指腸閉鎖の2例は新生児期手術を要し、腸回転異常を9例で指摘、うち3例が新生児期Ladd手術を受けていた。【まとめ】胎児期は徐脈、新生児期は胆道閉鎖、十二指腸閉鎖、腸回転異常、乳児期以降、特に単心室症例は門脈体循環シャントに留意して管理する必要がある。