講演情報
[I-OR08-05]単心室に対する房室弁置換術後の血栓弁
○三木 康暢, 田中 敏克, 渡邉 望, 伊藤 啓太, 稲瀬 広樹, 飯田 智恵, 中井 亮佑, 久保 慎吾, 亀井 直哉, 小川 禎治, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)
キーワード:
mechanical atrioventricular valve、thrombosis、single ventricle
【はじめに】単心室における房室弁逆流は予後不良因子の一つである.逆流に対して弁形成術が第一選択であるが,症例によって人工弁置換術を選択することがある.単心室では二心室症例に比して血栓弁のリスクはより高いと考えられる.
【対象】当院で2005年1月から2024年12月までに単心室症例に対して房室弁置換術を施行した9症例について,患者背景,血栓弁の頻度,治療について検討した.
【結果】年齢13歳(1-26歳).主心室は右室9/9例(100%),内臓錯位症候群6例・左心低形成症候群3例.弁置換術月齢25か月(4-100か月),体重8.9 kg(3.8-17.3 kg),弁サイズ21 mm(17-23 mm)であった.置換時期はGlenn(G)前2例,Fontan(F)後2例,G後F前5例であった.周術期死亡は0例,2024年12月時点で全例生存している.
血栓弁は4/9例(44%)に生じた.置換時期はG前2例,F後1例,G後1例であった.置換術後198日(69-312日)で発症していた.2例が血栓弁を4回反復し,いずれもG前,体重4kg以下,片側肺静脈閉塞の症例であり,術後69, 85日目に生じていた.
治療には4例10回とも血栓溶解療法を選択し,1回を除きtissue plasminogen activator(アルテプラーゼ)を用いた.投与量は0.03-0.06 mg/kg/h,治療期間は4日(2-13日)であった.全例で二葉の可動性が改善し,早期の外科的再介入は不要であった.重大な出血合併症,塞栓症状は認めなかった.血栓弁を反復した1例は過大な房室弁サイズと判断し,待機的に再弁置換術を行った.
【考察】既報では単心室に対する房室弁置換術後の血栓弁は16-31%と高率であり,当院も同様の結果であった.特に低体重の症例では血栓弁が早期に生じ,かつ反復しており,管理の困難さを示していると考えられる.低用量の血栓溶解療法は有効性・安全性が期待でき,循環動態が安定している単心室症例では選択肢の一つと考えられた.
【対象】当院で2005年1月から2024年12月までに単心室症例に対して房室弁置換術を施行した9症例について,患者背景,血栓弁の頻度,治療について検討した.
【結果】年齢13歳(1-26歳).主心室は右室9/9例(100%),内臓錯位症候群6例・左心低形成症候群3例.弁置換術月齢25か月(4-100か月),体重8.9 kg(3.8-17.3 kg),弁サイズ21 mm(17-23 mm)であった.置換時期はGlenn(G)前2例,Fontan(F)後2例,G後F前5例であった.周術期死亡は0例,2024年12月時点で全例生存している.
血栓弁は4/9例(44%)に生じた.置換時期はG前2例,F後1例,G後1例であった.置換術後198日(69-312日)で発症していた.2例が血栓弁を4回反復し,いずれもG前,体重4kg以下,片側肺静脈閉塞の症例であり,術後69, 85日目に生じていた.
治療には4例10回とも血栓溶解療法を選択し,1回を除きtissue plasminogen activator(アルテプラーゼ)を用いた.投与量は0.03-0.06 mg/kg/h,治療期間は4日(2-13日)であった.全例で二葉の可動性が改善し,早期の外科的再介入は不要であった.重大な出血合併症,塞栓症状は認めなかった.血栓弁を反復した1例は過大な房室弁サイズと判断し,待機的に再弁置換術を行った.
【考察】既報では単心室に対する房室弁置換術後の血栓弁は16-31%と高率であり,当院も同様の結果であった.特に低体重の症例では血栓弁が早期に生じ,かつ反復しており,管理の困難さを示していると考えられる.低用量の血栓溶解療法は有効性・安全性が期待でき,循環動態が安定している単心室症例では選択肢の一つと考えられた.