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[I-OR09-02]成人先天性心疾患患者における非心臓手術の背景と周術期評価

中川 誠太郎, 大澤 匠, 町野 智子, 沼田 るり子, 川松 直人, 石津 智子 (筑波大学 医学医療系 循環器内科)
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キーワード:

成人先天性心疾患、非心臓手術、術後心臓関連合併症

[背景と目的]成人先天性心疾患 (ACHD)患者の増加に伴い,非心臓手術を受ける機会も増加している。ACHD症例では特異な心血管構造や血行動態から,高い周術期リスクが懸念されるが,正確な実態の報告は不足している。本研究では,非心臓手術を受けるACHD患者の背景や疾患重症度,非心臓手術の内容,周術期心血管合併症や術後入院日数の関連を調査した。[方法]当院で2015年1月から2024年12月に,筑波大学附属病院で非心臓手術を受けたACHD患者を抽出した。CHD疾患名から,ACHD疾患重症度を分類した。非心臓手術の内容から,外科的転帰リスクツール(SORT)を用いsurgical complexityの分類を行った。術後入院日数,周術期心血管合併症を調査した。[結果]非心臓手術を受けたACHD41症例(年齢中央値33歳,男性29%)を抽出した。入院診療科は13科に及び,多岐にわたっていた。CHD重症度はmild,moderate,severeがそれぞれ24,12,5症例であった。疾患名は心房中隔欠損,心室中隔欠損(n=各5例)が多く,CHD重症度ごとの術後平均入院日数は9,13,7日と有意な関連は認めなかった(p=0.283)一方で,surgical complexity がintermediate,major,complex/Xmajor と増すにつれ,術後入院日数が延長した(3,7,7日; p=0.008)。また,CHD重症度とsurgical complexityに有意な関連は認めず(p=0.26),周術期心血管合併症は,術後心房細動を1例認めたのみだった。[考察]本研究では,疾患複雑性分類と術後入院日数の間に有意な関連は示されなかった。surgical complexityが高い症例で,術後入院日数が延長する傾向が示され,手術侵襲度が重要な要因となる可能性を示唆された。[結論] ACHD患者は,様々な診療科で非心臓手術を受けており,周術期アウトカムは良好だった。術後在院日数は,非心臓手術のcomplexityに影響を受ける可能性が示唆された。