講演情報
[I-OR10-05]Williams症候群における心血管合併症の多様な経過 -自然軽快と晩期増悪に留意した長期フォローの重要性-
○中村 香絵1, 佐々木 赳1, 藤野 光洋1, 川崎 有希1, 吉田 葉子1, 鈴木 嗣敏1, 小澤 秀登2, 鍵崎 康治2, 杉山 央1 (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器・不整脈内科, 2.同 小児心臓血管外科)
キーワード:
Williams症候群、大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄
【背景】Williams症候群に合併する心血管疾患として大動脈弁上狭窄(SAVS)、末梢性肺動脈狭窄(PPAS)が知られているが、その他にも多岐にわたる心合併症を来たす。【目的】Williams症候群の心合併症の経過について明らかにすること。【対象と方法】対象は2000年から2025年に当院小児循環器内科の受診歴があるWilliams症候群と診断された例。臨床経過について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】対象は54例、うち男性29例。年齢の中央値は23.5歳(0-49歳)。心合併症の内訳はSAVS 44例、PPAS 35例、僧帽弁閉鎖不全(MR)10例、冠動脈狭窄4例、心室中隔欠損3例、心房中隔欠損、肺動脈弁狭窄が各2例、房室中隔欠損、大動脈縮窄、僧帽弁狭窄、拡張型心筋症(DCM)、右室二腔症が各1例であった。(重複あり)SAVS ,PPASは経過とともに改善する例が多く見られたが、僧帽弁逸脱によるMRは経時的に増悪する傾向があった。不整脈を認めたのは4例で、WPW症候群、心房粗動の2例はアブレーション治療を施行、LQTは経過観察のみ、冠動脈狭窄に伴う特発性心室細動を発症した1例は後日S -ICDを留置された。外科手術は13例に施行。術式は、SAVS解除術が6例、うち2例は冠動脈狭窄解除術も同時に施行、心房中隔欠損2例、心室中隔欠損、右室二腔症、房室中隔欠損は心内修復術を施行。1例はSAVSが自然軽快後、9歳時よりMRを認め25歳時に僧帽弁形成術を施行した。また、1例は、日齢8と1歳5か月時に大動脈縮窄解除術を行い、その後僧帽弁狭窄並びに閉鎖不全が進行し、16歳時に僧帽弁置換術を施行した。死亡は4例。死因は3例が心合併症の増悪、1例はバーキットリンパ腫であった。【結語】SVAS ,PPASが自然軽快しても、学童期以降にMRが増悪したり、DCM、急性冠症候群を発症する例もあり、Williams症候群では生涯に心合併症に留意して経過観察することが重要である。