講演情報

[I-OR12-02]カテーテル後の仮性動脈瘤に対する超音波ガイド下圧迫

山下 真知1, 喜瀬 広亮2, 藤井 隆成2, 山岡 大志郎2, 齊藤 真理子2, 矢内 俊2, 清水 武2, 富田 英2 (1.昭和大学病院 小児科, 2.昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター)
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キーワード:

pseudoaneurysm、ultrasound guided compression、仮性動脈瘤

【背景】動脈カテーテル後の仮性動脈瘤は,成人では0.2-7.7%の頻度と報告されており,小児の心臓カテーテル検査後においても生じうる合併症である.治療方法として,外科的瘤切除,超音波ガイド下圧迫,トロンビン注入,コイル塞栓等が報告されている.当科では超音波ガイド下圧迫を第一選択としており,3例に対して行ったので報告する.【方法,症例】リニアプローブで発生血管と動脈瘤を同定後,仮性動脈瘤の上から動脈の走行と同方向にプローブをあて,動脈を長軸で描出し,瘤内への血流が完全に消失した状態で圧迫を継続した.症例1:2歳 川崎病冠動脈瘤.冠動脈造影後,翌日右鼠径部に拍動性の血腫を触知.瘤径6mm, neck 1.3mmの瘤を確認.3時間の圧迫で瘤内の血流消失を確認.症例2:6歳 三尖弁閉鎖 TCPC術後.術後の評価カテーテルを実施.退院後,右鼠径部の腫脹に気づかれ外来受診(カテーテル検査後5日目).右鼠径部に拍動性の血腫を触知.瘤径6mm×9mm, neck 1.4mmの動脈瘤を確認.2時間20分の圧迫で瘤内の血流消失を確認.症例3:57歳 動脈管開存,三尖弁閉鎖不全.経皮的動脈管開存閉鎖術後,翌日,右鼠径部に拍動性の血腫を触知.瘤径15mm×7mm, neck 1.5mmの仮性動脈瘤を確認.2時間30分の圧迫で血流消失を確認.1例目,2例目はワーファリン内服中のためVitK投与後に圧迫止血を行った.2例目は圧迫中の安静が保てず,集中治療室で鎮静管理を要した.3例共に再燃はなく圧迫による神経障害や皮膚損傷は認めなかった.【まとめ】動脈カテーテル後に発生した仮性動脈瘤に対して超音波ガイド下圧迫で全例瘤の消失が得られた.発生部位(頸動脈、上腕動脈)によっては阻血,気道の閉塞,神経圧迫による疼痛によりプローブによる圧迫が困難であるが,鼠径部では20mm前後までの仮性動脈瘤であれば,正確に動脈瘤と原因血管を描出し瘤内の血流消失を維持しながら圧迫を行うことで仮性動脈瘤の消退が期待出来るものと考えられる.