講演情報

[I-OR12-04]冠動脈の血流変化により診断し得た大動脈縮窄症に左回旋枝肺動脈起始症を合併した1例

松本 一希1, 朱 逸清1, 佐藤 純1, 小山 智史1, 吉井 公浩1, 大島 康徳1, 吉田 修一朗1, 野中 利通2, 櫻井 貴久2, 西川 浩1 (1.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科)
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キーワード:

BWG、左回旋枝肺動脈起始症、大動脈縮窄症

【背景】冠動脈起始異常は時に致命的な疾患となりうり、特に左回旋枝(LCX)単独の肺動脈起始は非常に稀で診断は難しい。【症例】3ヶ月の男児。感冒症状・全身状態不良のため前医を受診。処置の際にショックバイタルとなり挿管管理となった。エコーにて大動脈縮窄症(CoA)の診断となり動脈管(DA)の開存を認めなかったためPGE-1を投与ののち当院へ搬送となった。DAが開存し、一旦心機能は改善方向となったが、徐々に心機能の低下を認め翌日緊急手術となった。両側の冠動脈起始は確認できていたがLCXの走行は確認できなかった。Arch repairを施行したが心機能が立ち上がらずECMOでの帰室となった。術直後にエコーにてLCXの順行性血流を確認できていたが、術後3日にECMOを離脱し、術後7日のエコーではLCXの血流は逆行性のカラーフローへと変化していた。更に術後11日に気道感染を起こした際にLCXの血流が再度順行性となっていたため、丹念に走行を確認すると肺動脈へと繋がっており左回旋枝肺動脈起始症と診断できた。さらなる心機能の改善のために冠動脈移植術を施行し、現在も慢性心不全管理を継続中である。【考察】移植前のLCXのflowの方向は肺動脈圧によって影響を受け、術直後や気道感染で肺動脈圧が高い時は肺動脈から心尖部に静脈血として流れ、ECMO離脱で肺動脈圧が下がったため心尖部から肺動脈に流れたと思われた。【結語】冠動脈の血流方向を繰り返し注意深く確認することで冠動脈起始異常の診断に繋がる可能性がある。