講演情報

[I-OR13-01]逆方向中隔穿刺を用いたWire Atrial Septostomyによる確実なASD作成ー7症例のまとめ

長友 雄作, 小林 優, 松岡 良平, 寺師 英子, 平田 悠一郎, 山村 健一郎 (九州大学病院 小児科)
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キーワード:

WAS、ASD creation、TSP

【背景】
ASD作成は、CHD診療で重要な手技で、不安定な新生児に行うことも多い。従来のBASは、肥厚中隔、フラップ状中隔や小左房例では効果が不十分なことが多い。「ワイヤ心房中隔裂開術(WAS)」に「逆方向中隔穿刺(Reverse TSP)」を組み合わせた本手技の有用性および安全性を評価した。
【方法】
先行BAS無効または施行困難であった7症例に本手技を実施。手技は、既存のASDまたは新規TSP部を通じて4Frピッグテールカテ/2.9Frマイクロカテ/RFワイヤを左房へ進め、ピッグテールを左房側から中隔にひっかけた状態でReverse TSPを行い新たな欠損孔を作成。その後、0.010”ワイヤでループを作成し、6Fシース内に引き込みWASを施行。目標ASDサイズに応じてピッグテールカーブ径を調整し、細径マイクロカテとスネアを併用することでワイヤループ作成を効率化した。
【結果】
7例の年齢中央値は25日(2日~9歳)、体重は2.6kg(2.0~23kg)であり、4例は新生児期に緊急施行。疾患はPA-IVS 2例、TA 1例、MA 1例、MS+CoA 2例、TGA 1例で、心房中隔は、閉鎖3例、狭小かつフラップ状中隔4例で、うち小左房4例。全例静脈麻酔で、挿管下5例、ECMO下1例(横隔膜ヘルニア合併)。ガイドはTTE 6例、TEE 1例。
もとのASDサイズは中央値2(0~5)mmで、手技後には5(3.5~15)mmに拡大した。ピッグテールカーブ径と拡大サイズとの差は-1.5(-2.5~+1)mmであった。心房間圧較差は5(1~12)mmHg→0(0~2)mmHgに低下し、追加治療を要した症例はなかった。検査を含めた手技時間の中央値は206(100~273)分、Reverse TSPに要した時間は42(7~96)分、通電回数は3(1~14)回、Reverse TSPからWAS完了までは25(18~96)分であった。手技に関連する有害事象は認めなかった。
【考察】
本手技は、左房後壁や大動脈損傷リスクの低減、ASD拡大の精度向上、ワイヤループ作成時間の短縮といった点で有用であった。新生児でも安全に施行可能で、BAS困難例に対する新たな選択肢となり得る。