講演情報

[I-OR14-02]小児を取り巻く磁場と腹部ペースメーカとの電磁干渉

梶山 葉, 喜多 優介, 井上 聡, 河井 容子, 池田 和幸 (京都府立医科大学 医学部 小児科)
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キーワード:

ペースメーカ、電磁干渉、タブレット

【背景】ペースメーカ腹部植込み小児患者で、タブレット(端末、PC)との電磁干渉によりマグネットレスポンスが生じたとの報告がなされたが、小児を取り巻く磁場とその対応について明らかではない。【目的】小児の身近にある電子機器類の磁場を測定し、電子機器がペースメーカに電磁干渉を及ぼしうる距離を推定、干渉を防ぐ方法について明らかにする。【方法】対象:携帯電話、ゲーム機、タブレット(学校配布のタブレット機器を含む)。方法:1)ガウスメータを用いて各機器の発する磁場を測定 2)ペースメーカに直接接近させマグネットレスポンスが生じる距離の測定 3)マグネットレスポンスが生じなくなる距離の測定【結果】携帯電話(ワイヤレス充電型を含む)4種、ゲーム機2種、タブレット11種の測定を行った。また対象としてメーカー提供のマグネットの測定を行った。メーカー提供のマグネットは1)1300ガウス以上、2)4-10cm 3)6-13cmであった。一方、携帯機種本体は1)63-93ガウス、市販ケースから1)500-600ガウス 2)0.5cm 3)3cm。ゲーム機器はいずれもペースメーカに干渉せず。タブレットは1)260-1240ガウス 2)0-4cm 3)2-7cmと幅広く、強い磁場を呈するものもあった。【考察】通信機器やタブレットが発する磁場よりケースやカバーからの磁場が強く、PC本体と一体型であると取り外すことができない。また干渉を防ぐための距離が『こぶし一つ分』を超えることもある。【結論】小児の身近に強い磁場が身近にあることを周知し、腹部ペースメーカ挿入の患者には、接近させないよう十分な注意喚起を行う必要がある。また機器本体ではなく、ケース選択、購入の際にはその使用に十分注意することを患者教育することが必要である。