講演情報

[I-OR14-03]心外膜リード留置患者におけるMRI検査時のリード線先端発熱量の検討

白神 一博1, 小口 玲奈2, 犬塚 亮1, 黒田 輝2 (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東海大学 情報理工学部 情報科学科)
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キーワード:

心臓MRI、心外膜リード、発熱

はじめに
ペースメーカーリード留置後患者のMRI検査ではリード線先端の心筋で発熱を生じるという危険性がある。心内膜リードではMRI検査時の発熱の程度が検証され安全性が確認されているが、心内膜リードと素材が同一である心外膜リードでは同様の検証がなく、心外膜リード留置後にはMRI検査の施行は禁忌となっている。
目的
MRI検査中の心外膜リード先端での発熱レベルを検討し安全性を評価する。
方法
心内膜リードが安全性の認証を受けた方法と同様の方法で検証を行った。simulationソフト"Sim4Life"(R)を用いてリード線先端での発熱量を計算した。心外膜リード留置後の実患者のレントゲン・CT画像を元に、リード線の走行を3Dで再現した心外膜リード留置モデルとコントロールとして心内膜リード留置モデルを作成した。初期体温を37.0℃とし、これらのモデルに対して90分間の持続RF磁場を適用し、発熱の程度を計算した。
結果
脳MRI撮影に要する時間の目安となる撮影開始から15分の時点では、心内膜リード先端は37.4℃まで、心外膜リード先端では37.5℃までの上昇にとどまった。その後も温度上昇は続き、それぞれ撮影開始から35分の時点で最高温度に達し、心内膜リード先端は37.5℃、心外膜リードは38.4℃となった。その後は撮影開始から90分経過時点まで上昇は認めなかった。
考察
被検者の体側方でMRIが発する磁場が頭尾側方向にそろうことが知られている。心外膜リードの走行は心内膜リードよりも体側方を頭尾側方向に走っており、リード線の接線方向(頭尾側方向)の磁場が多くなるため、より大きな発熱につながったと推定された。
結論
今回想定した心外膜リード配置パターンでは90分という長時間のMRI撮影であっても、心外膜リードによる発熱は心内膜リードと大きくは異ならない結果で、安全な範囲内だった。この計測手法を応用することで、MRIでの発熱をおさえる安全な心外膜リードの走行パターンを構築できる可能性がある。