講演情報
[I-OR15-01]小児高コレステロール血症における肥満とアポB、LDLコレステロール/アポBとの関連
○宮崎 あゆみ (JCHO高岡ふしき病院 小児科)
キーワード:
小児高コレステロール血症、LDLコレステロール/アポB、肥満児
【背景・目的】アポBはアテローム性リポ蛋白粒子数を、LDLコレステロール/アポBはそのサイズを反映する指標として、動脈硬化リスクの評価に有用とされている。小児高コレステロール血症における肥満とそれらとの関連を検討し、その意義を考察する。【対象・方法】2004-2023年の20年間に学校内科健診や小児生活習慣病予防健診で肥満や高コレステロール血症を指摘されて当院で精密検査を受けた小中学生のうち、non-HDLコレステロールが150mg/dL以上の71名を、肥満度20%以上の肥満群27例(男19/女8)とそれ未満の非肥満群44例(19/25)とに分けて比較検討した。【結果】計測値では、肥満群で肥満度、腹囲、収縮期血圧が有意に大であった。脂質値(mg/dL)では、肥満群/非肥満群各々non-HDLコレステロール172±25/187±34(P=0.047)、HDLコレステロール53±10/66±16(P<0.001)、LDLコレステロール151±28/172±32(P=0.0053)であり、肥満群ではすべて有意に低値であった。アポAは136±21/144±20(P=0.10)、アポBは112±14/117±20(P=0.22)、アポB/Aは0.84±0.12/0.83±0.21(P=0.93)といずれも有意差がなかったが、LDLコレステロール/アポBは1.34±0.15/1.47±0.10(P<0.001)と肥満群で有意に低下していた。【考察】非肥満群におけるLDLコレステロールは肥満群より高値であり、家族性高コレステロール血症(FH)例が多く含まれると推察された。しかし両群におけるアポBに有意差なく、その結果肥満群でLDLコレステロール/アポB値が有意に低値となった。すなわち肥満群では非肥満群に比べアテローム性リポ蛋白粒子数が増加する傾向にあり、かつそのサイズも小さめであるため、コレステロール値のみによる動脈硬化リスクの過小評価に留意する必要がある。【結語】小児高コレステロール血症におけるアポB、LDLコレステロール/アポBは肥満児における動脈硬化リスク評価に有用である。