講演情報

[I-OR15-02]非侵襲的FHスクリーニングの新展開: CAVI波形と機械学習によるLDL-C予測モデルの構築

岩島 覚1, 早野 聡1, 關 圭吾1, 宮城 佳史2 (1.中東遠総合医療センター小児循環器科, 2.榛原病院小児科)
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キーワード:

家族性高コレステロール血症、学童生活習慣病検診、機械学習

背景: 家族性高コレステロール血症(FH)は小児期からの対策が重要な循環器病であり、日本では一部地域で学童生活習慣病予防検診にFHスクリーニングが導入されている。しかし、LDL-C値測定には採血が必要であり、新たな導入の障害となっている。本研究の目的は、非侵襲的にLDL-C値を予測するモデルの構築である。対象と方法: 総コレステロール値220 mg/dL以上の18歳未満の小児を対象に、LDL-C値およびCardio-Ankle Vascular Index(CAVI)を測定。CAVIの右上腕血圧脈波データから12の因子を抽出し、LDL-C値をz score化し2.5をカットオフ値として教師あり機械学習を実施 (Figure A)。MATLAB分類学習器を用い、CAVI脈波・年齢・性別・身長・体重など22因子から特徴量をSHAP法で特定した。結果: LDL-C値z score 2.5以上群では、1. ECGのR波ピークから末梢脈波立ち上がりまでの時間、および2.大動脈弁閉鎖音から脈圧ノッチまでの時間が2.5未満群より有意に短縮(0.16 vs 0.08 sec, p<0.001)。CAVI波形を含む因子を用いたツリー学習モデルによる分類精度は85.9%、ROC AUCは0.888と高い識別性能を示した。またSHAP法により1,2がLDL-C値判別に影響する主要因子であると判明した(Figure B)。結論: CAVI波形を用いたFHスクリーニングは、学童期における非侵襲的なスクリーニング手法として有用である可能性が示唆された。