講演情報

[I-OR15-03]心音図検査装置AMI-SSS01シリーズを用いた学校心臓健診における心房中隔欠損症の検出の可能性の検討ー多施設共同研究データを用いた研究ー

植田 由依1,2, 鬼頭 真知子3, 東 浩二4, 早渕 康信5, 高橋 健6, 増谷 聡7, 宗内 淳9, 新居 正基8 (1.AMI株式会社, 2.国際医療福祉大学成田病院, 3.あいち小児保健医療総合センター, 4.千葉県こども病院, 5.徳島大学病院, 6.順天堂大学医学部附属浦安病院, 7.埼玉県立小児医療センター, 8.静岡県立こども病院, 9.JCHO九州病院)
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キーワード:

学校心臓検診、心房中隔欠損、心音図

【背景】学校心臓検診の方法や要精検率には地域差があることが課題である。また、2024年11月に日本循環器学会より「学校心臓検診のデジタル化に関する提言」が公表されたことで今後各現場における検診・判読業務のデジタル化が加速し、将来的にはPersonal Health Recordの普及や検診データを用いたAIモデル構築が期待される。一方で、心音の評価は現場の医師の経験や環境に依存する聴診のみであり、データとして記録されておらず、客観性や再現性が課題である。そこで、我々は心音図検査に着目した。心音図検査装置AMI-SSS01シリーズ(以下SSS)は、操作に特別な技術が不要で、1部位8秒の測定で心音心電データを記録可能であり、独自の解析による心音の可視化が特徴である。【目的】学校心臓検診で検出される先天性心疾患で最多の心房中隔欠損症(ASD)についてSSSデータの解析結果から検出可能かを検討する。【方法】心音心電と心臓超音波検査を同時期に取得した多施設共同研究から、ASD単独症例を抽出して心音所見を評価した。SSSデータは胸骨左縁第2肋間、第4肋間のものを使用した。【結果】対象は31例で、年齢は8.0±2.8歳、30例が心エコーで右室容量負荷を認めた。診断契機は心音異常・心雑音が12例、学校心臓検診での心電図異常が12例、偶発的な診断が6例、不明が1例であった。心電図異常は24例で、最多は不完全右脚ブロックの18例であった。SSSの解析結果は、II音の分裂は固定性29例、呼吸性2例、そして収縮期雑音は強陽性10例、弱陽性14例、陰性7例であった。さらに、「心電図異常またはII音固定性分裂陽性」の条件を満たす症例は、ASD症例全例の31例(100%)であった。【結論】12誘導心電図と新規の心音心電計の組み合わせによりASDスクリーニングが可能であることが示唆された。