講演情報
[I-OR15-06]生徒も共に行う実践的な学校救急シミュレーション研修の継続的評価と意識変容の検討
○木下 輝来1,2, 檜垣 高史2,3,4,7, 森谷 友造3, 柏木 孝介3, 田代 良2,3, 宮田 豊寿2,3, 千阪 俊行3, 太田 雅明3,4, 高田 秀実3,4, 高橋 昌5,7, 太田 邦夫6,7 (1.愛媛大学 医学部 医学科, 2.愛媛大学 大学院 医学系研究科 地域小児・周産期学講座, 3.愛媛大学 大学院 小児科学, 4.愛媛大学病院 移行期・成人先天性心疾患センター, 5.新潟大学 大学院 医歯学総合研究科 新潟地域医療学講座 災害医学・医療人育成部門, 6.金沢大学 医薬保健研究域 医学系 小児科, 7.日本小児循環器学会 蘇生科学教育委員会)
キーワード:
学校救急、蘇生教育、シミュレーション
【背景】学校管理下の子どもの突然死予防は重要課題である。愛媛県では、教職員と生徒が協働する学校救急シミュレーションが継続実施されているが、詳細な評価は十分でない。本研究では、研修の経年的影響を分析し、知識や意識の変化を検討する。【目的】シミュレーションの前後および経年変化を比較し、教職員と生徒の知識・意識の変化を明らかにし、より効果的な研修方法を探る。【方法】A中学校で3年間、教職員と生徒が協力し、実践的な学校救急シミュレーションと講義を実施。Google Formsで調査を行い、意識や知識の変化を評価した。【結果】生徒では、「最も近いAEDを取りに行く自信がある」割合が有意に上昇(P<0.05)。また、「学校での心肺停止は減少しつつある」に対し、「いいえ」の回答が増加し、知識向上が示唆された。さらに、上級生が下級生を指導・支援する場面が増え、救命に対する協力意識の高まりが確認された。継続的な研修実施により、個々の知識向上にとどまらず、学校全体の救急対応力が向上することが期待される。教職員では有意差はなかったが、長期研修により意識や指導力の向上が促される可能性がある。【考察】これまでの調査により、実践的な学校救急シミュレーション研修の有効性が示された。特に生徒では知識定着だけでなく、上級生が下級生を支援する姿勢が定着しつつある。これは継続的な研修の意義を示す重要な結果である。一方、教職員の短期的な変化は乏しく、長期的な視点での評価が必要である。今後は研修内容の充実や指導方法の改善を図り、より効果的な研修を目指す。【結論】教職員と生徒が協働する学校救急シミュレーション研修は継続的に有効であり、他地域でも関心が高まりつつある。今後、さらなる発展を目指し、より実践的な研修の構築が求められる。