講演情報

[I-OR16-02]Dynamic Digital Radiography(DDR)を用いた新しい肺血流評価法 -DDRは肺血流シンチに代わる簡便な評価法になり得るか-

郷 清貴1, 鈴木 謙太郎1, 上田 一仁2, 森本 美仁1, 山本 英範1, 鈴木 俊彦2, 深澤 佳絵1, 村松 友佳子2, 佐藤 義朗2, 大橋 直樹1, 加藤 太一1 (1.名古屋大学医学部附属病院 小児循環器センター, 2.名古屋大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター 新生児部門)
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キーワード:

肺血流、Dynamic Digital Radiography、実効線量

【背景・目的】先天性心疾患や横隔膜ヘルニア(CDH)など肺形成を伴う疾患では、術後も肺血流の左右差をしばしば合併し予後に影響する。肺血流の評価には肺血流シンチグラフィやMRIが用いられるが、静脈ルート確保や放射性同位体の必要性、長い検査時間などの短所がある。近年、フラットパネル検出器とパルス X線発生器を使用した機能的画像検査であるDynamic Digital Radiography(DDR)が本邦から実用化された。DDRは造影剤や放射性同位体を使用せず、数秒間で撮影した連続画像内の微細なX線透過性の変化から、肺血流を視覚化し解析することができる。本研究は、小児における肺血流評価法としてのDDRの精度と、被ばく量の検証を行うことを目的とした。【方法】2024年1月から12月に就学時評価として肺血流シンチを行った当院のCDH術後患者のうち、同意が得られた11名に対して同日にDDRの撮影を行った。画像は解析ワークステーションKYNOSIS(コニカミノルタ)を用いて解析した。【結果】対象患者の年齢は中央値6.18歳(5.70-7.28歳)で、CDHの患側は左9例、右2例であった。DDRによる患側肺の血流比率は中央値36.3%(4.5-47.6%)、肺血流シンチでは37.2%(1.6-45.9%)で、Pearsonの積率相関係数はr= 0.972(p<0.001)と良好な相関を認めた。Bland-Altman分析の結果、両者の間には固定誤差、比例誤差共にみられなかった。DDR撮影における実効線量は中央値0.157mSv(0.126-0.168mSv)で、肺血流シンチにおける実効線量2.17mSv(1.56-2.59mSv)の1/10以下であった。【考察・結論】DDRにより算出した肺血流の左右比はシンチの結果と良好に相関し誤差は少ない。被ばく量も少なく、DDRは肺血流シンチに代わる低侵襲・低被ばくの肺血流評価法になり得る。