講演情報

[I-OR16-04]造影MR lymphangiographyの所見から治療方針を決定した先天性リンパ管奇形の低出生体重児症例

郷原 佑太1, 中島 眞生子2, 北東 功2, 和田 慎司3, 齋藤 祐貴3, 藤川 あつ子3, 右田 王介4, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 新生児科, 3.聖マリアンナ医科大学 放射線科, 4.聖マリアンナ医科大学 放射線科聖マリアンナ医科大学 遺伝診療部)
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キーワード:

MRI、MR lymphangiography、リンパ管疾患

【背景】先天性リンパ管奇形には予後が極めて不良な疾患が含まれるが、その診断や重症度の評価が難しく、侵襲度の高い集中治療が継続されることが多い。今回、乳児期に施行した造影MR lymphangiography(MRL)による所見をもとに治療方針を決定した症例を経験したので報告する。【症例】日齢44の女児。胎児MRI検査にて脳室拡大を指摘され、子宮内発育遅滞の精査を目的に出生前診断が行われた。在胎36週5日、体重2208gで出生。新生児仮死、小顎症、耳介低位を認めた。NICU入院後、低体温療法および人工呼吸管理を開始。入院中の胸部X線検査で両側の胸水が徐々に増悪し、胸腔穿刺により得られた胸水の性状から乳び胸と診断。ステロイドおよびオクトレオチドの投与を行ったが十分な反応は認められなかった。日齢39にICGリンパ管造影を施行。ICG投与後90分で胸腔ドレーン排液の染色を確認したものの、それ以上の情報は得られなかった。日齢44にMRLを施行。超音波ガイド下に左側鼠径リンパ節からガドリニウム造影剤1.1mLを注入。撮像の結果、穿刺部周囲、後腹膜に造影効果を認めたが、胸管の描出は確認できなかった。重度のリンパ管低形成が示唆され、治療の困難性が高いと判断し、現行の治療を最大限の方針とすることとした。その後、日齢119に死亡。遺伝子解析ではDMPK遺伝子に2000回以上のCTGリピートを認め、筋緊張性ジストロフィーと診断した。【考察】MRLは先天性リンパ管奇形の診断および重症度の評価に有用である。本症例のように診断や重症度判定が困難で、集中治療が長期化しがちな予後不良なリンパ管奇形において、治療方針の決定に寄与する可能性がある。