講演情報

[I-P01-1-01]心電図が正常化した高度肥満に伴う高血圧性心肥大の一例

二宮 由美子, 田中 裕治, 砂川 雄海, 石川 香織, 吉永 正夫 (国立病院機構 鹿児島医療センター)
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キーワード:

高血圧、高度肥満、学校心臓検診

【背景】高血圧は、後負荷の増大に伴う心肥大やリモデリングなど、心筋への直接的な影響を与える。今回、学校心臓検診をきっかけに高血圧性心肥大が疑われ、高度肥満も指摘された患児が、適切な食事・運動の管理と降圧薬の内服により、心電図所見が正常化した一例を経験したため報告する。【症例】17歳男性。家族歴として、母が49歳時に脳出血を発症。中学3年時に部活動を引退後、約半年間で20kg増量した。高校1年の学校心臓検診で左室肥大とST異常を指摘され、当科を初診した。診察時の身体所見は、身長172.5cm、体重99.9kg、肥満度63.4%、BMI 33.6、血圧141/93 mmHg。血液検査では肝機能障害と高インスリン血症を認めた。心電図所見では、V4-V6 陰性T波を認め、LVH 7点だった。心エコー所見では、IVS 11mm(+3.3 SD)、LVPW 13mm(+5.2 SD)と心筋肥厚を認めたが、収縮・拡張障害は認めなかった。高度肥満と高血圧を有しており、高血圧性心肥大と考え、生活習慣の改善を目指して食事・運動指導を行った。初診から4か月後、肥満度は46.6%に軽減し、心電図ではV4-V6のT波が陽転化した。当初、肥大型心筋症の可能性は否定できずカルベジロール内服を開始した。その後、再度生活習慣が乱れ血圧が上昇したため、アムロジピンを追加した。血圧の正常化に伴い、左室肥大も改善し、心電図は正常化した。【考察】本症例は、肥満度や高血圧の改善により左室肥大所見が正常化したことから、高血圧性心肥大と考えられた。我が国における小児の高血圧の頻度は約3%とされており、肥満者ではさらに高頻度となる。今後、心臓検診は生活習慣病検診と協力して血圧検診を実施し、小児期の高血圧に対し早期から積極的な対策を講じる必要がある。【結論】小児期から適切に介入し血圧をコントロールすることで、心肥大を改善できる可能性がある。