講演情報
[I-P01-1-02]小学校1年生と中学校1年生における心エコースクリーニングの有用性と所見の変化の検討
○玉井 葉奈2,4, 田代 良2,5, 柏木 孝介2, 宮田 豊寿2, 渡部 竜助2, 前澤 身江子2, 千阪 俊行2, 太田 雅明2, 赤澤 祐介3, 松田 修2,4, 檜垣 高史1,2 (1.愛媛大学 医学部 小児・思春期 療育学講座, 2.愛媛大学 医学部 小児科学講座, 3.愛媛大学 医学部 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学, 4.愛媛県立今治病院 小児科, 5.愛媛県立新居浜病院 小児科)
キーワード:
冠動脈起始異常、学校心臓病検診、突然死
【背景】小中学生の院外心原生心停止のうち、半数以上が経過観察されていない児童・生徒であり、その原因疾患は冠動脈奇形が最も多い。現行の学校心臓検診では、この疾患を抽出することはできないが、心エコーを導入すれば高い確率で発見できる。愛媛県南宇和郡愛南町では、2017年より小学校1年生と中学校1年生を対象に、全員に心エコー検査を行う取り組みを続けており、冠動脈奇形をはじめとする心疾患が発見されている。2023年以降、中学校1年生は、2回目の心エコーを受けた。【目的】全例に対する心エコー検査の有用性および中学生で2回目の心エコーを受けることの意義を明らかにする。【方法】小1と中1の2回心エコー検査を受けた生徒126名を対象に、冠動脈の起始位置とその他の所見の変化を調査した。冠動脈の起始位置の変化を「0」(変化なし)、「+1」(時計方向に1時間分の変化)、「-1」(反時計方向に1時間分の変化)で評価した。【結果】2回の心エコー検査で、冠動脈の変化は右冠動脈で+0.006~+0.248(+0.2°~+7.4°)、左冠動脈で+0.010~+0.204(+0.3°~+6.1°)の範囲で、大きな変化は認められなかった。また、小1では指摘できなかったが、中1で新たに所見が出現した例が6例あり、その内訳は心房中隔瘤1例、肺高血圧症疑い1例、軽度の房室弁逆流4例であった。【考察】心房中隔瘤や肺高血圧症は初期段階では自覚症状が乏しいが、心エコーによって早期に疾患を発見できることが示された。また、これらの所見は小1では指摘されなかったが、年齢を重ねることで心エコー検査がより有用である可能性が示唆された。【結論】心エコー検査の有用性が示された。また、小1では診断されなかった所見が中1で新たに指摘され、年齢を経て、再度心エコー検査を行うことにも意義があることが証明された。