講演情報
[I-P01-1-10]異なる心筋症の発症様式を呈した褐色細胞腫・パラガングリオーマの2例
○清松 光貴, 鍵山 慶之, 山川 祐輝, 津田 恵太郎, 前田 靖人, 高瀬 隆太, 寺町 陽三, 須田 憲治 (久留米大学病院 医学部 小児科学講座)
キーワード:
カテコラミン心筋症、褐色細胞腫、高血圧
【背景】褐色細胞腫・パラガングリオーマによるカテコラミン心筋症は急性から慢性まで多様な表現型をとるが、既報によると臨床経過はカテコラミンの暴露期間や分画の違い、濃度に影響を受ける。今回異なる心筋症の表現型を呈した2症例を経験したため報告する。【症例1】12歳女児。1年前より多汗あり、呼吸苦・顔色不良を主訴に前医に入院し心電図でV2-V6の陰性T波を認め、血液検査でトロポニンT陽性、NT-pro BNP上昇(16633 pg/mL)、心エコーでLVDd 50.8mm (+2.5 SD)、全周性壁運動低下 (EF 30%)を指摘。sBP 170mmHgと高血圧を認め、尿中ノルメタネフリン高値(14.1mg/day、基準値0.09-0.33mg/day)と右副腎腫瘍を指摘され、当院転院後に褐色細胞腫と診断。α遮断薬を開始しsBP 120mmHg前後で推移。心収縮は改善に乏しく術前にPVC、QT延長を認め、ACE阻害薬とβ遮断薬を併用し初診+41日に腫瘍摘出術を施行。術後不整脈は消失したが、LVMIは術前122から術後111g/m2と著変なく、EFは術後40%から術後約1年で50%台まで徐々に回復。【症例2】12歳女児。2年前より労作時頭痛、1年前から多汗あり、運動時の眼前暗黒感を主訴に前医を受診。心電図でV2-V6のST上昇、血液検査でトロポニンT陽性、NT-pro BNP上昇(4057 pg/mL)を認め当院紹介。心エコーでEF 49%(Simpson法)と収縮能低下を認め、心基部過収縮と心尖部壁運動不良からたこつぼ心筋症と診断。sBP 150mmHgと高値であり、尿中ノルメタネフリン高値(10.5mg/day)、右後腹膜腫瘤を認めパラガングリオーマと診断。α遮断薬の投与で術前より心臓の壁運動は正常となった。初診+64日に腫瘍摘出術を行い、LVMIは術前101から術後65.1g/m2と低下し術後EFも70%と良好。【考察】2症例ともノルエピネフリン有意であった。より重篤な心筋症所見を認めた症例1では有症状期間は短い一方でノルメタネフリン値やLV mass indexが高く、カテコラミン過剰がより高度であった可能性を考慮した。