講演情報

[I-P01-2-02]川崎病急性期にループスアンチコアグラントによる著明なAPTT延長を認めた2歳女児例

古賀 大貴, 平野 雅也, 大野 拓郎 (国立病院機構 小倉医療センター 小児科)
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キーワード:

川崎病、ループスアンチコアグラント、APTT延長

【緒言】ループスアンチコアグラント(LA)は坑リン脂質抗体の1つでAPTT延長と体内で易血栓傾向をきたし得る。今回、川崎病急性期にLA陽性を伴うAPTT延長が見られた症例を経験した。過去に川崎病にLA陽性を合併した報告が1例あるが希少な症例であり報告する。【症例】2歳女児。発熱2日目、左耳下腺腫脹を主訴に入院し、クラフォラン、クリンダマイシンによる抗菌薬投与を行ったが解熱せず、後に眼球結膜充血、口唇発赤、手掌・足底紅斑が出現し第5病日に主症状5/6より川崎病と診断した。FilmArray呼吸器パネル検査でヒトライノ/エンテロウイルスが陽性であった。計2回(第5・7病日)の免疫グロブリン大量療法により症状は改善し、冠動脈病変を含めた心内合併症は見られなかった。本症例において特筆すべき点として、入院時APTT時間が125.6秒と著明に延長しており、D-dimer 7.1 μg/mLと線溶亢進を伴っていた。クロスミキシングテストではインヒビターパターンでLA陽性が後に判明した。APTT時間は免疫グロブリン投与前98.3 秒であったが川崎病症状の改善と共に改善し第7病日に正常化した。D-dimerは最大10.1 μg/mLとなったが退院時には1.2 μg/mLと改善、低用量アスピリン療法を継続し発症1か月後に正常化した。発症2か月後の検査でLA陰性化を確認した。【考察】川崎病にLA陽性を合併するのは稀ではあるが過去にも報告されている。今回は低用量アスピリン療法のみで明らかな血栓塞栓症は見られなかったが、川崎病の血管炎の病態にLA陽性が加わった場合は血栓塞栓症に対するリスクが高まる可能性がある。