講演情報

[I-P01-2-03]ロタウイルスワクチン接種後2週間後に発症したガンマグロブリン不応性川崎病の治療経験~インフリキマブ投与の是非

清水 大輔, 宗内 淳, 田中 惇史, 池田 正樹, 峰松 優季, 峰松 伸弥, 豊村 大亮, 杉谷 雄一郎, 渡邊 まみ江 (JCHO九州病院 小児科)
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キーワード:

川崎病、インフリキシマブ、ロタウイルスワクチン

【はじめに】インフリキシマブ(IFN)はTNF-αに対するモノクローナル抗体でNF-κBを介した炎症反応抑止やcaspase-8を介したアポトーシス抑止の効果がある。2020年改訂川崎病急性期治療のガイドラインにおいて、IFNは大量ガンマグロブリン療法(IVIG)不応性例において3rd line以降で考慮されるとされるが、生ワクチン接種後3か月以内の投与は推奨されていない。今回、ロタウイルスワクチン接種直後に発症した巨大冠動脈瘤を合併した川崎病患者を振り返りIFN投与の是非を検討した。【症例】生後5か月男児。川崎病主要症状5/6(小林スコア:6点)のため4病日と6病日にIVIG2g/kgによる治療を行ったが解熱しなかった。3rd lineの治療としてIFX療法を検討したが、発症2週間前に経口ロタウイルスワクチン接種していたため血漿交換を選択した。8病日より3日間の血漿交換を行ったが治療に反応せず、やむなく10病日にIFXを投与し速やかに解熱、炎症反応も改善した。しかし、31病日にはSeg1 6.5mm(Z=11.1)、Seg5 6.1mm(Z=10.8)の両側巨大冠動脈瘤を合併した。ワーファリンとアスピリンによる抗血栓治療継続の方針となった。【考察】本症例の経過からIFXを早期に使用していれば冠動脈瘤合併を回避できたのではないかと考えた。生ワクチン接種後であってもIFXの使用は安全であると報告されており、2022年に作成された炎症腸疾患におけるワクチン接種のエキスパートコンセンサスでは生ワクチン接種後3週間以降であれば免疫抑制薬を使用可能と記載されている。生ワクチン接種後のIFX投与に関してガイドライン含めて再検討すべきである。