講演情報

[I-P01-2-04]川崎病急性期における下行大動脈拡張期逆行性血流の要因の検討

吉野 佳佑, 北野 正尚, 長元 幸太郎, 渡邊 康大, 西岡 真樹子, 島袋 篤哉 (沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)
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キーワード:

川崎病、冠動脈瘤、不全型川崎病

【背景】川崎病急性期において下行大動脈のパルスドプラで拡張期に逆行性血流がみられる場合があると報告されている。その機序として、拡張した冠動脈あるいは炎症によって拡張した末梢血管への血流が盗血されると考察されているが、いまだ明らかではない。関連因子としてCRP 0.5mg/dL未満になるまでの日数と炎症のマーカーとして血清中のNOが報告されている。今回川崎病急性期における下行大動脈拡張期逆行性血流(DARF)の要因に関して検討した。【方法】2023年1月-2025年2月に当科に入院した川崎病急性期患者33症例中DARFを認めた10例(年齢10-122ヶ月(中央値33)、体重8.7-37.5kg(中央値12.6)、男児6例)において、治療経過中の最大下行大動脈拡張期血流のrevere/forward率(DARFR)と以下の項目(川崎病の症状、解熱するまでの日数、原因疾患、血液検査最高値(WBC、Plt、LDH、AST、ALT、LDH、CRP、DD、フェリチン、BNP)、LVDd、LVEF、AR、冠動脈病変、治療法、合併症の有無)の間に関連があるか後方視的に検討した。有意p<0.05。【結果】10例におけるDARFは6-22病日(中央値8)に認められ、DARFRは0.09-0.45(平均0.22)で、全例ARはなし。川崎病の症状は3-6項目、原因疾患は溶連菌4例、アデノウイルス1例、MIS-C 1例。2例で心機能低下を認めカテコラミンの使用を要したが、冠動脈病変は全例で認めなかった。全検討項目ともDARFRと有意な相関関係が認められなかった。【考察】発症から解熱までの日数(7-26日)、WBC最高値(13000-31000/μl)、CRP最高値(5.5-26.6mg/dl)は関連がある傾向が認められ、症例数が増加すれば有意な相関関係が認められる可能性がある。【結論】川崎病急性期にDARFが認められる場合がある。発症から解熱までの日数、WBC最高値、CRP最高値はDARFと関連がある可能性がある。今後症例数を増やして、更なる検討を行いたい。