講演情報
[I-P01-2-05]当院で経験した川崎病亜急性期に発症した関節炎の3例
○長谷部 洋平, 菊地 夏望, 須長 祐人, 吉沢 雅史, 河野 洋介 (山梨大学 医学部 小児科)
キーワード:
川崎病、関節炎、鑑別
【背景】川崎病(KD)では、急性期の炎症が沈静化した後に関節炎(KD後関節炎)を合併する場合がある。KD後関節炎の臨床像は不明な点が多く、自己免疫性疾患、特に全身型若年性関節炎(sJIA)との鑑別を要し、その管理方針に苦慮することが多い。
【目的】KD後関節炎の臨床経過を後方視的に検討し、その臨床的特徴を明らかにすること。
【方法】2022年以降、当院で川崎病治療後の関節炎と診断された3例について、疫学、血液学的検査所見、群馬スコア、治療抵抗性の有無、冠動脈病変の有無、画像所見について後方視的に調査した。
【結果】発症年齢は2-7歳。全員男児だった。群馬スコアは0-8点だが、全例IVIG不応例だった。関節炎症状は全例亜急性期に出現(第14-16病日)、3週間以上症状が持続した。発症部位としては、頚部で1例、両側膝関節で1例、右足関節と手関節が1例だった。エコー検査で関節炎の所見は1例に確認された。MRI検査では、2例で滑膜炎所見が確認されたが、関節滑液の増加はみられなかった。血中MMP値は全例で有意に増加した。フェリチン値は全例で最大100ng/mL未満であり、経過と無関係に漸減傾向だった。CRP値は発熱した症例のみ微増したが、他の症例では関節症状と関連なく漸減傾向だった。冠動脈病変は全例みられなかった。治療に関しては1例でアスピリン増量、1例でイブプロフェンとPSLの内服を要した。1例では経過観察可能だった。全例関節炎症状の再燃はなかった。
【考察】KD後関節炎はIVIg不応症例に多いとする報告がある。当院の症例も全例IVIg不応でだった。また、KD後関節炎ではフェリチン値の増加がみられず、関節滑液の増加がみられなかった。これらはKD後関節炎とsJIAの鑑別に有用と考えられた。
【結論】IVIG不応のKD症例では、KD後関節炎に留意する必要がある。フェリチン値の推移や関節MRIの所見は、KD後関節炎の早期診断に有用である可能性が考えられた。
【目的】KD後関節炎の臨床経過を後方視的に検討し、その臨床的特徴を明らかにすること。
【方法】2022年以降、当院で川崎病治療後の関節炎と診断された3例について、疫学、血液学的検査所見、群馬スコア、治療抵抗性の有無、冠動脈病変の有無、画像所見について後方視的に調査した。
【結果】発症年齢は2-7歳。全員男児だった。群馬スコアは0-8点だが、全例IVIG不応例だった。関節炎症状は全例亜急性期に出現(第14-16病日)、3週間以上症状が持続した。発症部位としては、頚部で1例、両側膝関節で1例、右足関節と手関節が1例だった。エコー検査で関節炎の所見は1例に確認された。MRI検査では、2例で滑膜炎所見が確認されたが、関節滑液の増加はみられなかった。血中MMP値は全例で有意に増加した。フェリチン値は全例で最大100ng/mL未満であり、経過と無関係に漸減傾向だった。CRP値は発熱した症例のみ微増したが、他の症例では関節症状と関連なく漸減傾向だった。冠動脈病変は全例みられなかった。治療に関しては1例でアスピリン増量、1例でイブプロフェンとPSLの内服を要した。1例では経過観察可能だった。全例関節炎症状の再燃はなかった。
【考察】KD後関節炎はIVIg不応症例に多いとする報告がある。当院の症例も全例IVIg不応でだった。また、KD後関節炎ではフェリチン値の増加がみられず、関節滑液の増加がみられなかった。これらはKD後関節炎とsJIAの鑑別に有用と考えられた。
【結論】IVIG不応のKD症例では、KD後関節炎に留意する必要がある。フェリチン値の推移や関節MRIの所見は、KD後関節炎の早期診断に有用である可能性が考えられた。