講演情報
[I-P01-2-07]川崎病による左冠動脈分岐部瘤の退縮について
○津田 悦子, 伊藤 裕貴, 村山 友梨, 松原 一樹, 高山 達, 高島 悟, 坪谷 尚季, 森 有希, 遠藤 寛之, 大内 秀雄, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
キーワード:
川崎病、左冠動脈分岐部瘤、退縮
(背景)川崎病 (KD)による冠動脈瘤は分岐部に生じやすく、左冠動脈分岐部瘤 (LCA AN)は特徴的である。遠隔期に残存、退縮、閉塞の有無は予後に影響与えうる。(目的)遠隔期のLCA ANの退縮について検討した。(方法)1978年から2018年までに、KD発症後100日以内に選択的冠動脈造影 (CAG)により冠動脈障害と診断された133例 (男94女39) について、LCA ANの最大冠動径による後方視的にフォローアップCAGにおける退縮の有無についてみた。初回CAGにおける最大冠動脈瘤径(LCA AN)とLADとLCX の最大冠動脈径を測定し、LCA ANの退縮に関連する因子を検索した。LCA ANの最大冠動脈瘤径により、L群 (8.0mm以上)、M群(6.0mm以上8.0mm未満)、S群 (3.0mm以上6.0mm未満)の3群に分けた。また、Zスコアに換算し、10.0以上、5.0以上10.0未満、5.0未満に分類した。各群の20年の退縮率をKaplan-Meier法により求め、退縮のカットオフ値についてみた。(結果)川崎病罹患は3か月から10歳、中央値19か月、経過観察期間は2か月から44年。中央値18年であった。退縮に有意に関連するのはLCA ANの径 (p<0.001)であり、LADとLCXの冠動脈径には関連しなかった。罹患後20年のLCA AN退縮率は、L群32%(n=41)、M群52%(n=39)、S群81%(n=53)で、Zスコアでは、10以上41%(n=39)、5.0以上10.0未満68%(n=66)、5.0未満100%(n=8)であった。退縮のカットオフ値は絶対値では5.8mm (AUC0.824, p<0.001)、Zスコアに換算すると9.0 (AUC0.794, p<0.001) であった。(結語)Zスコア5.0未満は2年以内に全て退縮した。川崎病に特徴的なLCA ANの退縮のカットオフ値は、絶対値5.8mm、Zスコア換算では9.0であった。