講演情報

[I-P01-2-09]当院における川崎病後冠動脈障害の現状およびdrop症例の背景の検討

渡邉 誠, 橋本 佳亮, 泉田 健介, 嶋田 香苗, 橋本 康司, 阿部 正徳, 上砂 光裕 (日本医科大学 小児科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

川崎病後冠動脈障害、遠隔期、drop症例

目的:川崎病後冠動脈障害症例の現状およびDrop症例の背景を明らかにする。対象:当院の診療録で確認できる川崎病後冠動脈障害症例は143例であり、そのうち詳細不明例および転院例を除いた109例を、管理症例とDrop症例に分類し検討を行った。方法:冠動脈障害を巨大瘤(両側)、巨大瘤(片側)、中等瘤、小瘤、退縮に分類した。また、CABGの有無や心血管イベントの発生状況、現在の生活状況、内服状況について検討した。さらに、Drop症例についてはDrop時の年齢も追加で検討した。結果:109例の内訳は管理症例84例、Drop症例24例、死亡例1例であった。年齢の平均は27.17歳(管理症例は24.01歳)、発症年齢の平均は3.12歳、発症からの経過年数は23.64年であった。またDrop症例のDrop時平均年齢は19.97歳であった。管理症例は、巨大瘤(両側)44例、巨大瘤(片側)23例、中等瘤9例(退縮1例)、小瘤8例(退縮7例)であり、そのうちCABG症例は36例で巨大瘤(両側)30例、巨大瘤(片側)6例であった。不整脈やAMIを起こした症例は巨大瘤(両側)26例、巨大瘤(片側)8例で、中等瘤以下では認められなかった。生活状況では、学生31例でD-禁2名、E-禁1名を除き運動制限なく、社会人48例で主婦2例を除き全員就労していた。Drop症例は、巨大瘤(両側)8例、巨大瘤(片側)7例、中等瘤4例、退縮5例であり、CABG症例も7例いた。Dropの時期としては、卒業時や就職時および主治医交代時に多かった。考察:CABGを含めた心血管イベントは巨大瘤のみで認められ、巨大瘤の管理の重要性を再認識した。一方で、管理症例では通常の生活を送ることが可能であった。Dropを防ぐためには、卒業時・就職時・主治医交代時などの好発時期に啓蒙活動を行うことが重要であると考えられた。