講演情報

[I-P01-3-03]先天性心疾患における流出路角

杉谷 雄一郎1, 峰松 優希1, 田中 惇史1, 峰松 伸弥1, 池田 正樹1, 豊村 大亮1, 清水 大輔1, 渡邉 まみ江1, 宗内 淳1, 川上 剛史2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.JCHO九州病院 産婦人科)
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キーワード:

胎児心エコースクリーニング、重症心疾患、検出率

背景:近年先天性心疾患の胎児診断率は向上したが、DORV、TGAなど重症心疾患の診断率は依然として低く、新たな指標が求められている。目的:心室流出路軸から重症先天性心疾患の診断に有用な指標を検出すること。対象および方法:2013年から2024年に当院で胎児心エコー図を実施した胎児145例(単心室循環、肺動脈閉鎖、総動脈幹症、データ不十分例は除外)を対象とした。疾患は正常構造心(NH) 60例、正常大血管関係を有する先天性心疾患(NGA-CHD) 41例(肺静脈還流異常 4例、AS 4例、Ebstein奇形10例、VSD及びAVSD 16例、その他 7例)、TOF 19例、DORV 16例、TGA 9例 (D-TGA 5例、C-TGA 4例)であった。後方視観察研究で、胎児心エコー図断面において前後軸と心室中隔軸、右室流出路軸および左室流出路軸となす角度(心室中隔角、右室流出路角および左室流出路角)を測定した。また両側流出路軸のなす角度(両心室流出路角:右室流出路角- 左室流出路角)を測定した。結果:胎児心エコー図施行時の妊娠週数は30(26─33)週であった。心室中隔角は、NH 40°(IQR:33─47) vs NGA-CHD 46°(38─63) vs TOF 61°(56─74) vs DORV 47°(42─56) vs TGA 38°(38─46)(P<0.01)、右室流出路角は NH -15°(-18─-8) vs NGA-CHD -11°(-20─10) vs TOF 8 °(-10─26) vs DORV 18°(-9─25) vs TGA 26°(17─40) (P<0.01)、 左室流出路角は NH 66°(60─74) vs NGA-CHD 78°(63─90) vs TOF 70°(59─80) vs DORV 49°(32─61) vs TGA 47°(27─52) (P<0.01)であった。両心室流出路角はNH 77°(65─85) vs NGA-CHD 88°(64─97) vs TOF 58°(44─79)vs DORV 29°(10─57)vs TGA -18°(-32─-7)(P<0.01)から有意差を認め、NHとNGA-CHDで差はなかったが、TOF、DORV、TGAの順に角度が小さくなった。結論:両心室流出路角は疾患群により異なり、レベルIIスクリーニングにおいて重症心疾患の検出指標として有用な可能性がある。