講演情報

[I-P01-3-04]胎児心疾患の診断時期早期化と妊娠中断率 ―当院の現状―

金 基成, 酒井 瞭, 浅井 ゆみこ, 藪崎 将, 浦田 晋, 三崎 泰志, 小野 博 (国立成育医療研究センター 循環器科)
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キーワード:

胎児心疾患、妊娠中断、単心室疾患

【背景】超音波機器の性能とスクリーニング技術の向上により、妊娠前半期における胎児心疾患の診断が可能となってきた。【目的】当院における、胎児心疾患の診断時期と妊娠中断率から、先天性心疾患の疫学に対する影響を検討すること。【方法】2021-24年に当院で診断された胎児心疾患 (先天性心疾患、心筋疾患、心臓腫瘍で軽微な疾患を除く) の診断時期、診断、妊娠継続の有無について院内のデータベースよりデータを抽出した。【結果】全期間での在胎22週未満の診断率は20% (36/180) で、そのうちの44% (16/36) で妊娠が中断されていた。単心室疾患 (64%, 7/11) では、二心室疾患 (36%, 9/25) に対して有意に妊娠中断率が高かった。在胎22週以降に診断された単心室疾患は25例であったことから、全単心室疾患の19% (7/36) が妊娠中断されていたことになる。2021-23年の3年間と2024年を比較すると、在胎22週未満の診断率は16% (18/114) から27% (18/66)へ、そのうちの妊娠中断率は22% (4/18) から67% (12/18) へ、それぞれ増加していた。【考察】胎児心疾患の診断時期早期化と妊娠中断率の増加は急速に進行していることから、正確な胎児診断と長期予後の具体的な説明は、胎児の両親の意思決定支援のために今後ますます重要になっていくと考えられる。また、特に単心室疾患の治療対象症例数は出生数以上の速さで減少していくと考えられることから、小児循環器医療の診療体制もあわせて検討していく必要がある。