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[I-P01-4-03]右室-肺動脈カップリング (Ees/Ea) のSurrogate指標としてのRVFAC/TRPGの有用性 -ファロー四徴症術後および肺動脈弁置換術症例における検討-

本間 友佳子, 早渕 康信 (徳島大学病院 小児科)
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キーワード:

右室-肺動脈カップリング、Ees/Ea、ファロー四徴症術後

【背景と目的】右室-肺動脈カップリング(Ees/Ea)は右心循環動態を示す重要な指標であるが計測方法が煩雑で侵襲的であるため代替心エコー指標が提案されており、TAPSE/sPAPが最も一般的である。ファロー四徴症術後症例において拡大した右室容積はTAPSE、RVEFと相関しない報告も示されており、sPAPも右室流出路狭窄の影響を受けることから、これらはファロー四徴症術後症例の右室機能を正確に反映しにくい。右室自由壁縦方向の短縮は心臓手術後の胸壁との癒着や心膜石灰などに影響を受ける。我々はRVFACをTRPGで除した値がTAPSE/sPAPよりもEes/Eaの代替指標として有用であることを示してきた。ファロー四徴症術後肺動脈弁置換術(PVR)前後における評価も含め、RVEFと対比しながらRVFAC/TRPGの有用性について考察する。【方法】ファロー四徴症術後症例のべ62例(7.5~44.3歳)を対象とした。右室圧波形からSingle beat法を用いてEes/EaをSigmaPlot ver.15を用いて算出した。Pmaxを求め、ESPは心室圧波形の二次微分が最小値を呈する値とした。Ees/Ea=(Pmax/ESP)-1と表される。四腔断面像から得たRVFAC/TRPGをRV-PA couplingのSurrogate parameterとした。【結果】RVFAC/TRPGはEes/Eaと有意な相関が認められた(R2=0.21, p=0.0002)。TAPSE/TRPG, RVEFはEes/Eaと各々相関は無かった。RVFAC/TRPGはRVEDV, RVESVと負の相関が得られた(R2=0.11, p=0.007, R2=0.10, p=0.008)。RVEDVとTAPSE/TRPG, RVEFのそれぞれの二変量解析ではいずれも有意相関は得られなかった。PVR前後で評価できた27例では、Ees/Ea, RVFAC/TRPGは術後で有意に上昇していたが(p=0.0004, p=0.006)、RVEFは有意な変化は無かった。TAPSE/TRPGはPVR術後に優位に上昇していた(p=0.006)。【考察・結語】ファロー四徴症術後症例における右心機能解析においてはRVFAC/TRPGがTAPSE/sPAP、RVEFよりも鋭敏に反映する指標であると考えられた。