講演情報

[I-P01-4-06]Ebstein病に対するcone手術の治療成績 -単一施設での検討-

大久保 光将1, 新居 正基1, 眞田 和哉1, 石垣 瑞彦1, 佐藤 慶介1, 芳本 潤2, 満下 紀恵1, 金 成海1, 田中 靖彦1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.静岡県立こども病院 不整脈内科)
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キーワード:

エプスタイン病、cone手術、心エコー図検査

【背景】Ebstein病では高度な三尖弁逆流が存在していることから、右室に適度な後負荷がかかりにくい状態であり、このような状態で右室機能を正確に評価することは困難である。明確な指標が存在しない現状では、臨床症状や既存のデータからcone手術の可否を判断せざるを得ない。【目的】当院で二心室修復が可能と判断しcone手術をおこなった症例の経過を検討する。【方法】2005年4月から2021年10月までの間に当院でcone手術をおこなった症例を診療録から後方視的に検討する。【結果】16例でcone手術が行われていた。ファロー四徴症と拡張型心筋症を合併した2例は除外した。そのうえで、動画サーバー上に術前心エコー図画像がある12例を本研究の対象とした。手術時年齢は中央値5.5歳(2ヶ月~15歳)、観察期間は9.9年(3.3年~19.9年)で、6例は成人期へ到達していた。死亡例は2例あり、うち周術期死亡は1例であった。術後遠隔期にone and a half repairへの切り替えを要した症例が1例であった。予後不良群(one and a half repairへ変更した症例と死亡例)と予後良好群に分けて検討した。予後不良群は手術時年齢・体重が小さく(1歳(2ヶ月-1歳8ヶ月)vs6.3歳(5ヶ月-15歳)) p=0.01・(8.8 kg(2.3-8.8)vs14.1(5.1-56)) p=0.049、SpO2が低かった(85%(80-88)vs94(76-99)) p=0.04。BNP 178 pg/mL(75-161)vs92(31-598)、TR-Vp 2.5 m/s(1.9-2.6)vs2.3(1.5-2.7)、TR-dp/dt 563(433-790)vs415(194-721)は有意差が認められなかった。 【考察】予後不良群では手術時年齢が早く、SpO2も低値であったことから、右室機能がより早期に悪化したことが推測されるが、既存の心エコー図指標ではこれを予想することは困難であった。