講演情報
[I-P01-5-03]両方向性Glenn術後にFontan到達が困難であった房室弁置換症例の予後検討
○松原 一樹1, 岩朝 徹1, 伊藤 裕貴1, 加藤 温子3, 加藤 愛章1, 藤本 一途1, 戸田 孝子1, 坂口 平馬1, 黒嵜 健一1, 大内 秀雄1, 盤井 成光2 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科・成人先天性心疾患センター, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科, 3.大阪大学医学部附属病院 小児科)
キーワード:
Glenn、Fonntan、房室弁置換
【背景】Fontanに到達できなかった房室弁置換(AVVR)術後のGlenn術後患者は生命予後不良と考えられるが、実際の予後検討の報告は少ない。【対象と方法】対象は2019年1月から2024年12月の期間に当院受診があり、AVVR術施行歴のあるFontan未到達のGlenn術後症例7例とした。後方視的に年齢、診断名、人工弁輪径、血行動態、転帰等について調査、転帰に関わる因子を検討した。AVVR術既往のあるFontan到達症例17例と比較した。結果は中央値と[四分位範囲]で示した。【結果】男性2例、女性5例、診断はHLHS 4例、unbalanced AVSD 1例、DORV 1例、DILV 1例で、2例でTAPVC/PVOを合併していた。最終フォローアップ時の年齢は11.7 [9.6-14.3] 歳、死亡は2例で、周術期感染(7歳)と低酸素血症(12歳)であった。生存5例のFontan未到達理由は4例が肺血管発育不良で、1例が中心静脈圧高値、1例が難治性蛋白漏出性胃腸症であった。ペースメーカ植込み術が4例に行われ、そのうち3名で心臓再同期療法が行われていた。初回AVVR術実施時の年齢は1.8 [1.5-2.6] 歳で、全例Glenn術後に行われていた。置換房室弁は三尖弁が6例、共通房室弁が1例であった。人工弁輪径は18 [17-18] mm、GOAI(geometric orifice area index)は5.2 [4.9-5.5] cm2/m2であった。最終フォローアップ時の主心室駆出率は51.0 [42.5-55.5] %、動脈血酸素飽和度は 80.0 [64.5-81.0] %、であった。また、GOAIは2.6 [2.2-2.7] cm2/m2に低下し、房室弁圧較差は6.4 [3.0-8.0] mmHgとなっていた。一方、Fontanに到達したAVVR術後患者における最終フォローアップ時のGOAIは2.6 [2.4-2.9] cm2/m2で、二群間に有意な差はなかった(P=0.49)。【考察】AVVR術後のFontan未到達患者の生命予後は不良とまで言えないが、低酸素血症や心室機能低下、不整脈などの合併症を認めた。一方で、Fontan到達可否は人工弁sizeのみで規定されていないと考えられた。