講演情報

[I-P01-5-06]Glenn術後遠隔期にPLEを発症した2例

榊 真一郎, 河島 裕樹, 土居 秀基, 西木 拓己, 渡辺 恵子, 水野 雄太, 小澤 由衣, 益田 瞳, 白神 一博, 犬塚 亮 (東京大学医学部附属病院 小児科)
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キーワード:

グレン手術、タンパク漏出性胃腸症、術後遠隔期合併症

【背景】単心室症患者に対するTCPC手術までの段階的治療において、心機能や肺血管に懸念がある場合、タンパク漏出性胃腸症(PLE)を始めとしたフォンタン循環に伴う合併症を避ける目的で、Glenn手術をdefinitive repairとすることがある。今回、我々はGlenn術後遠隔期にPLEを発症した2例を経験したので報告する。【症例1】10歳男児。左心低形成症候群(HLHS)に対し、1歳時にGlenn手術を施行した。重度の心機能低下があり、TCPC手術は困難と判断し、抗心不全治療を継続していたが、9歳時にPLEを発症した。利尿剤の調整を行ったが、改善に乏しく、ステロイド投与を開始し、寛解を得た。現在ブデソニド内服下で、再発を認めていない。【症例2】17才男児。HLHS類縁疾患に対し、6か月時にNorwood+Glenn手術を、9ヶ月時に左肺動脈閉塞に対しBlalock-Taussigシャント手術を施行した。重度三尖弁逆流によるうっ血性心不全と左肺動脈圧高値のため、TCPC手術は困難と判断した。8歳時に三尖弁形成術を行い、肺血管拡張薬の導入後は心不全の改善と肺動脈圧の低下を得たが、11歳時にPLEを発症した。利尿剤の調整にて一旦軽快したが、再発を繰り返した。高用量アルドステロン、ヘパリン、ステロイド投与、体肺側副血行路コイル塞栓やリンパ管塞栓術などを行ったが、効果に乏しく、オクトレオチドの投与にて、PLEの寛解が得られた。連日皮下注射に移行し退院、以後再発なく経過している。【考察】definitive repairとしてGlenn手術を行った症例を対象とした長期予後の報告によると、PLEの合併は極めて稀で、その合併率は0-3%とされている。今回、我々はGlenn術後遠隔期にPLEを発症した2例を経験した。definitive repairとしてGlenn手術を行った患者においても、中長期の合併症としてPLEに注意して経過観察を行うことが望ましい。