講演情報
[I-P01-5-09]右室冠動脈類洞交通を合併する純型肺動脈閉鎖の術後遠隔期の合併症の検討
○中村 虹輝1, 上田 知実1, 嶋 侑里子1, 松村 雄1, 小林 匠1, 齋藤 美香1, 吉敷 香菜子1, 浜道 裕二1, 矢崎 諭1, 和田 直樹2, 嘉川 忠博1 (1.榊原記念病院小児循環器内科, 2.榊原記念病院小児心臓血管外科)
キーワード:
純型肺動脈閉鎖、右室冠動脈類洞交通、術後遠隔期
【背景】純型肺動脈閉鎖症(PA/IVS)で右室が低形成のためFontan candidateとなる症例は、右室内腔から右室冠動脈類洞交通(sinusoidal communication: SC)が冠動脈に繋がる症例が多い。特に右室依存性冠循環(RVDDC)は早期死亡の危険因子とされるが、周術期を乗り越えFontan循環を確立した症例でも術後遠隔期に心筋虚血イベントを生じた報告が散見される。
【目的】SCを合併したPA/IVSの術後遠隔期の予後を明らかにすること。
【方法】当院において2010~2020年の11年間にSCを合併するPA/IVS症例の術後経過を、診療録より後方視的に検討した。特に虚血イベント、心機能、内服薬の有無について精査した。
【結果】対象は15例、3例が周術期に死亡し、生存している12例について検討した。1.5心室修復が1例、2心室修復が2例、Fontan手術が9例である。現在の年齢の中央値は8.5歳(5~21歳)、観察期間の中央値は7年間(最大20年間)だった。周術期に心機能低下、心室頻拍、徐脈からの心停止を計3例に認めたが、遠隔期に虚血イベントを呈した症例はなかった。SCの局在は、右冠動脈が3例、左冠動脈主幹部が1例、左冠動脈前下行枝が3例、右冠動脈と前下行枝が2例、右冠動脈と回旋枝が2例、3枝が1例であった。2心室修復をした2例を除いた10例(83%)に抗凝固療法が施行されている。その他の主な内服薬は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬が8例(67%)、β遮断薬が7例(58%)、肺血管拡張薬が3例(25%)だった。左室駆出率の中央値は62.7%(54.1~65.2%)で、LVEDPの中央値は8.5mmHg(5~14mmHg)であった。2名でNTpBNPの高値を認めた。
【考察】術後遠隔期に虚血イベントを呈した症例はなく心機能は保たれていた。術後の観察期間が短いため、合併症を発現していない可能性が考えられる。今後の経過を引き続き注意深く観察していく。
【目的】SCを合併したPA/IVSの術後遠隔期の予後を明らかにすること。
【方法】当院において2010~2020年の11年間にSCを合併するPA/IVS症例の術後経過を、診療録より後方視的に検討した。特に虚血イベント、心機能、内服薬の有無について精査した。
【結果】対象は15例、3例が周術期に死亡し、生存している12例について検討した。1.5心室修復が1例、2心室修復が2例、Fontan手術が9例である。現在の年齢の中央値は8.5歳(5~21歳)、観察期間の中央値は7年間(最大20年間)だった。周術期に心機能低下、心室頻拍、徐脈からの心停止を計3例に認めたが、遠隔期に虚血イベントを呈した症例はなかった。SCの局在は、右冠動脈が3例、左冠動脈主幹部が1例、左冠動脈前下行枝が3例、右冠動脈と前下行枝が2例、右冠動脈と回旋枝が2例、3枝が1例であった。2心室修復をした2例を除いた10例(83%)に抗凝固療法が施行されている。その他の主な内服薬は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬が8例(67%)、β遮断薬が7例(58%)、肺血管拡張薬が3例(25%)だった。左室駆出率の中央値は62.7%(54.1~65.2%)で、LVEDPの中央値は8.5mmHg(5~14mmHg)であった。2名でNTpBNPの高値を認めた。
【考察】術後遠隔期に虚血イベントを呈した症例はなく心機能は保たれていた。術後の観察期間が短いため、合併症を発現していない可能性が考えられる。今後の経過を引き続き注意深く観察していく。