講演情報

[I-P01-5-10]ReDSを用いたFontan術後の小児患者における肺うっ血の非侵襲的定量化の検討

岡部 真子1, 坪井 香緒里1, 仲岡 英幸1, 伊吹 圭二郎1, 小澤 綾佳1, 廣野 恵一1, 元野 壮2, 鳥塚 大介2, 青木 正哉2, 芳村 直樹2 (1.富山大学 小児科, 2.富山大学 第一外科)
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キーワード:

心不全、肺うっ血、Fontan術後

【背景】Remote dielectric sensing(ReDS)は、近年開発された非侵襲的な電磁エネルギー技術であり、成人の心不全患者において肺うっ血を定量的に評価することができる。しかし、小児患者に対する使用例はまだ報告がない。【目的】Fontan術後患者の肺うっ血評価におけるReDSの有用性を明らかにする【方法】小児科外来通院中のFontan術後の患者に同意を得て、ReDS測定を行った。胸部レントゲンにおける心胸郭比(CTR)と、うっ血評価スコアリング(congestion score index :CSI)を算出し、ReDS値との相関を分析した。【結果】計21名のFontan患者(中央値年齢:17歳;中央値身長:152.7cm;中央値体重:48.6kg;男性12名)で検討した。全ての患者でReDS値は正常に測定され、ReDS値とCSIの間には軽度の相関が見られた(r = 0.47, p = 0.030)。ReDS値が35%を超える患者(N = 11)では、ReDS値とCSIの間により強い相関が認められた(r = 0.61, p = 0.046)。ReDS値が35%以下の患者(N = 10)では、CSI値が低いにもかかわらず、ReDS値が広範囲(25%-35%)に分布していた。ReDS値とCTRの間には中程度の相関があった(r = 0.53, p = 0.013)。ReDS値が35%を超える患者では、ReDS値とCTRの相関はより強くなった(r = 0.64, p = 0.035)。ReDS値が35%以下の患者では、ReDS値とCTRに有意な相関は認めなかった(r = 0.21, p = 0.567)。【考察】ReDSシステムの最大の利点は非侵襲性であり、小児患者においても繰り返し測定することができる。胸部レントゲンでは判断しにくい軽度の肺うっ血を評価できる可能性が示唆された。臨床において、ReDSシステムを用いて肺うっ血の変化を評価し、利尿薬の調整などの治療に役立つ可能性がある。【結論】ReDSシステムは、小児患者における肺うっ血の非侵襲的定量化のために有用な可能性がある。さらなるデータ蓄積を行いReDSシステムの有用性を検証し、臨床での活用を評価する必要がある。