講演情報
[I-P01-6-01]20年間における心房間交通維持を必要とする疾患の振り返り -非手術施設から-
○山田 洸夢1,2, 本村 秀樹1, 石橋 洋子1, 石橋 信弘1 (1.NHO長崎医療センター 小児科, 2.長崎大学病院小児科)
キーワード:
Balloon Atrial Septostomy、心房間交通、TGA
【背景・目的】経皮的心房中隔裂開術(BAS)は循環維持のための心房間交通作成は緊急での実施が求められることがある。当院は新生児の心臓血管手術が実施できない背景等から県外への転院も検討される。これまで当科で経験した症例を振り返り、今後の課題点を検討する。【方法】2004年4月~2024年3月の20年間で、血行動態維持のために心房間交通が必要と判断した症例に関して診療録を元に後方視的に検討した。【結果】対象は、完全大血管転位症(TGA):16例、左心低形成症候群(HLHS):8例、三尖弁閉鎖(TA):1例、重症大動脈弁狭窄症(cAS):1例、両大血管右室起始(DORV):1例だった。TGAではBASは7例で実施され、うち2例が当施設、4例は転院先で実施された。1例は当科実施後にSpO2上昇乏しく再実施が検討されるもデバイスの在庫がなく、転院後に再実施された。再実施例以外の6例ではBAS後にSpO2は上昇した。搬送中に状態が増悪した症例は認めなかった。BAS実施症例では非実施症例に対しSpO2値[49% vs 75%、p<0.05]が有意に低く、当院実施例では転院先実施例と比べよりSpO2値[37% vs 66%、p<0.05]が低かった。状態が悪くBAS実施前に死亡した症例が2例あった。TA、cAS、DORVでは全例転院後にBASを実施された。HLHSでは転院後5例に心房中隔拡大術が行われたが、すべて外科的手術であった。疾患にかかわらず、BAS実施した全ての症例でpullback BASが選択され、BASの合併症なかった。【考察・結論】BASの実施場所やタイミング、その他の判断に関して問題なかったと考えられたが、設備的・人員的問題から細かなトラブルも認め改善の余地はある。胎児診断の進歩でさらに症例数は減ると考えられるが、超緊急症例があり治療可能な環境の維持が課題である。