講演情報
[I-P01-6-02]当センターにおけるバルーン大動脈弁形成術(PTAV)の変遷
○三崎 泰志, 酒井 瞭, 浅井 ゆみこ, 藪崎 将, 浦田 晋, 金 基成, 小野 博 (国立成育医療研究センター 循環器科)
キーワード:
大動脈弁狭窄、PTAV、大動脈弁形成
【はじめに】近年大動脈弁狭窄(vAS)に対する治療として、PTAVの有効性の問題もあり、近年は外科手術の成績向上を受けて、直視下の大動脈弁形成術(AVP)を第一選択とする事が多いが、新生児の重症大動脈弁狭窄(cAS)等ハイリスク症例では、低侵襲であることから初期治療としてPTAVが選択されることもある。【目的】当センターにおけるPTAVの成績を年代別に検討する。【方法】2010年1月-2025年2月まで当センターで、PTAVを施行した11例を電子診療録から後方視的に検討した。【対象】2010.1-2014.12月までの前期5例,2015.1-2019.12月までを中期2例(1歳)、2020.1月以降の後期4例(日齢2-15)【結果】PTAV施行年齢は、前期:日齢2-生後5ヶ月,中期:1歳4ヶ月/1歳5ヶ月,後期:日齢0-15と後期では新生児のCriticalもしくはsevere vASのみであった。中期に行われた2例はいずれも大動脈縮窄/離断複合新内修復術後であった。バルーン径は大動脈弁輪径の79-105%(中央値 95%)で使用されていた。術後経過に関して、前期5例は、比較的左室大動脈圧格差が小さめであった生後3ヶ月の1例を除き、生後2ヶ月-1歳6ヶ月までに外科的介入(AVP 3,Ross 1)を要した。中期2例は大動脈弁輪が小さく、5歳及び6歳に外科的介入(Konno-AVR)を要したが、1例では待機中にニアミスが生じた。後期4例は、全例有効と判断されたが、フォロー期間が短い1例を除いた3例で、術後14日-6ヶ月で外科的介入(AVP 2,Norwood 1)を要した。新生児例を含めPTAVによる重大な合併症は認められなかった。【まとめ】現在乳児期以降においては、基本的にはAVPを第一選択と考えているが、ハイリスク症例やAVPが困難な症例については、PTAVは一定の外科的介入の効果を遅らせる可能性がある。しかしながら比較的早期にAVPが必要となった症例もあり、適応については大動脈弁形態等も検討し、慎重に判断するべきである。